冬の困りごとと、使うもの
加湿器を強くすると窓が濡れ、窓の水滴を減らそうとすると今度は部屋が乾く。冬は、この2つが同じ時期に起きます。
12〜2月ごろの話です。
冬に多いのは、この4つです。当てはまるものから読んでください。
冬に出てくる困りごと
窓に水滴がついて枠がカビる
毎朝、カーテンを開ける前に少し身構える。窓の下のたまり水を拭くのが、冬のあいだずっと続く。拭いても、次の朝にはまた同じところに水滴が出ている。もう直しようがないと思っていませんか。

空気が持てる水の量は、温度が下がるほど小さくなります。室内20度の暖かい空気が、外0度で冷えた窓ガラスにふれると、そこで持てなくなったぶんが水滴になって出てくる。
窓が濡れるのは、部屋の湿気が多いからだけではなく、窓の表面だけが冷たいからです。枠の黒い点は、その水が乾かないまま残ったところに出ます。

窓の表面の温度を上げます。断熱シートを貼ると、ガラスとの間に空気の層ができて表面が冷えにくくなり、出てくる水滴が減ります。
加湿しすぎても水滴は増えるので、湿度計を見ながら湿度を50%前後に抑える。それでも出た水は吸水テープで受けて、枠に残さないようにします。
水滴そのものを減らせるのは、窓の表面温度を上げることと、加湿を抑えることの2つです。吸水テープは出た水を受け止めるだけなので、翌朝に出る水滴の量は減りません。
解決すると……
朝、カーテンを開けても窓の下が濡れていません。毎朝5分の拭き取りが要らなくなるので、12月から2月までの90日で7時間半が浮きます。
枠に黒い点が出ないぶん、春に洗剤とブラシで落とす日もつくらずに済む。カーテンの裾が湿らないので、裾だけが黒ずむこともありません。
チェックするポイント
- 断熱シートを貼る場所は、ガラスの面です。水滴が出るのはガラスなので、商品ページの「対応窓サイズ」の行を見て、ガラス全面に貼れる大きさを選びます
- 厚みと形。シートとガラスの間に空気の層ができるので、平らなフィルムより、気泡(プチプチ)や凹凸のある型のほうが表面が冷えにくくなる
- 家の窓がどの型か。網入りガラス・複層(ペア)ガラス・Low-Eガラスには、断熱シートを貼れません。日の当たった面と、サッシに隠れた冷たい端との温度差でガラスがひび割れます(熱割れ)。網入りは、中の鉄線とガラスの温度差でも割れます
- 家の窓がその型なら、ガラスにシートを貼るのはやめます。窓の内側に透明の断熱カーテンライナーを吊るすか、窓枠の下に立てる断熱ボードに替えます。どちらもガラスにさわらないので、割れる心配がありません。水滴そのものは出るので、吸水テープは同じように貼ります
- そのシートを、すりガラスに貼れるか。すりガラスは割れる心配とは別に、表面の凹凸のせいで吸盤も水も密着しません。「すりガラス対応」と書いてある型を選びます
- 貼り方。水で貼る型は、賃貸でもはがせて跡が残りにくい。ただし、ひと冬貼りっぱなしにするとふちの糊が残ることがあるので、春に外します。両面テープの型は、はがすときにサッシの塗装ごと持っていくことがあります
- 吸水テープは、幅と長さ。窓枠の下ふちの幅(多くは3〜10センチ)に合うものを選びます。長さは窓1枚ぶんで足りるか、家じゅうで何枚ぶん要るかを数えてから買います
- 湿度計は、加湿器のそばではなく部屋の真ん中に置きます。部屋の湿度が50%を超えると、窓の水滴が増えはじめます。窓の水滴と乾燥のどちらも避けるなら、50%が上限です
暖房をつけても足元が寒い
設定温度を上げても、上がるのは電気代だけ。靴下を2枚はいて、それでも足先だけ冷たい。この部屋は足元が暖まらない部屋なんだ、とあきらめてしまう。

暖かい空気は同じ体積の冷たい空気より軽いので、天井のほうへ上がります。エアコンの温風が下りてこない部屋だと、天井付近と床で10度近い差がつくこともあります。
リモコンの数字が20度でも、足元の空気はそれよりずっと冷たい。人がいるのは床に近いところなので、設定温度を上げても、先に暖まるのは誰もいない場所です。

足すのは熱ではなく、天井と床の空気を混ぜる力です。サーキュレーター(風をまっすぐ飛ばす送風機)を天井へ向けて回します。
天井にたまった暖かい空気は、真上から当たった風に押されて横へ広がり、壁を伝って下りてきます。部屋の空気がひとまわりするので、床の近くの冷たい層が薄くなる。
ただし、空気を混ぜるだけでは防げない冷えの通り道が2つ残ります。ひとつは窓です。ガラスで冷やされた空気は重くなって下り、床の上を足元へ流れます。
カーテンの丈を床に触れる長さにして、その流れをふさぎます。もうひとつは床そのものです。床から逃げる熱は、空気を混ぜても止まりません。断熱マットを別に敷きます。
空気を混ぜること、冷気の入り口をふさぐこと、熱を逃がさないことは、それぞれ別の手当てです。
解決すると……
朝いちばんに床へ足をつけても、ひやっとしません。靴下を2枚はかずに済むので、台所に立つのも洗面所に行くのも、いちいち身構えなくなる。
設定温度を1度下げても寒く感じないぶん、電気も減ります。暖房を21度から20度にすると、年間で約53キロワットアワー、およそ1,650円ぶんの電気が減ります。
(資源エネルギー庁 省エネポータルサイト。外気温6度・1日9時間の試算)
チェックするポイント
- サーキュレーターは、真上を向けられるか。商品名か写真で「上下首振り」「上向き90度」を見ます。真上を向けられない型では、天井にたまった空気を下ろせません
- 「到達距離」の行。風は進むほど広がって弱まるので、天井へ向けて使うなら、表示が10メートル以上あるものを目安にします。風は天井に当たったあと壁を伝って床まで下りるので、道のりは天井の高さより長くなります。測り方はメーカーごとに違うので、数字の大小だけで他社の品と比べないでください
- 消費電力のワット数。冬は、サーキュレーターをいちばん弱い風で回しっぱなしにします。20ワットの型なら1日8時間×30日で約150円です(1キロワットアワー31円。全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価)
- 断熱マットは、厚みとサイズ。立って使う場所や椅子の下なら、10ミリ前後からが目安です。床にじかに座ることが多いなら、それより厚いものを選びます。厚みの表示が無い品は避ける。ラグの下に敷くので、ラグより一回り小さいものを選びます
- アルミの面が付いたマットは、敷く向きを商品の表示に合わせます。床へ逃げる熱を止めるのは中の発泡層の厚みなので、アルミだけの薄いシートでは足りません
布団が冷たくて寝つけない夜は、入る前に温めて、眠るときは熱を止めます
肌と喉が乾く
朝起きたら口の中がからからで、枕もとの湿度計は30%台。加湿器は去年買った。それでも湿度計の数字は上がりません。買い方を間違えたのかな。もっとタンクの大きい加湿器にすればよかった、と思っていませんか。

暖房をつけても、空気の中の水は減りません。外から入った空気を温めると、空気に入る水の限界だけが大きくなります。中の水の量は同じなので、湿度の%が下がる。
0度で湿度60%の空気を20度まで温めると、水は1立方メートルあたり2.9グラムのままで、湿度だけが17%に下がります。
部屋が乾くのは、水が減ったからではなく、空気という入れ物が大きくなったからです。

だから、足りない水は加湿器で部屋に入れるしかありません。加湿器が1時間に出す必要がある水の量は、部屋の広さと家の造りで決まります。
業界の決めごと(JEM1426)では、マンションの洋室8畳に300ミリリットル毎時。14畳なら500ミリリットル毎時が要ります。
木造の和室は壁が水を吸うぶん、同じ8畳でも450ミリリットル毎時ほど。タンクが2リットルなら、洋室8畳でも7時間ほどで空になる計算です。
加湿器は、タンクの容量ではなく、1時間に出せる水の量と手入れの回数で選びます。
解決すると……
寝室の湿度計が、朝まで50%前後を保ちます。タンクに水を足すのは1日1回だけ。夜中に水切れの音で起こされることがありません。
洗うのがタンクとトレイだけの型なら、週末の手入れは5分で終わる。1月も2月も加湿器の回し方を変えずに済むので、ひと冬のあいだ続けられます。
チェックするポイント
- 「加湿量」の行を見ます。1時間に出せる水の量のことで、「300ミリリットル毎時」のように書いてあります。その下の「適用畳数」(その機種で足りる部屋の広さ)の行もあわせて見る。マンションの洋室8畳なら300ミリリットル毎時から、木造の和室8畳なら450ミリリットル毎時から選びます
- 箱の「適用畳数」が小さめに見えるのは、外が0度でも部屋の湿度を60%に保つという厳しい条件で決まっているからです。木造和室◯畳/プレハブ洋室◯畳の2つのうち、自分の部屋の造りに合う行を見ます。プレハブ洋室のほうが数字は大きいので、造りが分からないときは小さいほうの「木造和室◯畳」が部屋の広さ以上あるものを選ぶと足ります
- タンクの容量を、その加湿量で割ります。2リットル÷300ミリリットル毎時で約6.6時間。ひと晩8時間もたせたいなら、3リットル以上の型を選びます
- タンクに上から水を注げるか(上部給水)。水は1日1回足すので、本体を流しまで運ぶ型では毎日の給水が続きません
- 洗う部品の数と、フィルターの替え。フィルターを1シーズンごとに替える型は、替えの値段を先に見ておきます
- 本体に湿度計が付いているか。付いていないなら、別に温湿度計を置きます。部屋の湿度が50%を超えると、今度は窓が濡れはじめます
暖房費が上がる
検針票の数字を二度見して、心当たりを探す。エアコンをつける時間は去年と変えていない。心当たりがないのがいちばん怖い。使いすぎた自覚がないので、来月どこを削れば料金が下がるのかも分からない。

冬に暖房の熱が逃げていく場所のうち、58%が開口部です(日本建材・住宅設備産業協会)。開口部というのは、窓と玄関ドアのこと。
壁と屋根には断熱材が入っていることが多いのに、窓はガラス1枚か2枚しかありません。家の中でいちばん薄い窓から、いちばん多くの熱が逃げています。

部屋が寒いのは、熱が足りないからではなく、逃げているからです。だから設定温度を上げる前に、窓をふさぎます。断熱シートで、ガラスの前に空気の層をつくる。
すき間テープで、サッシの合わせ目をふさぐ。カーテンは裾が床に触れる長さにして、窓で冷えた空気が足元へ降りてこないようにします。
熱が多く逃げる場所から順に手を入れると、設定温度を上げなくても足元の温度が上がります。
解決すると……
帰ってきて暖房をつけてから、コートを脱ぐまでの時間が短くなります。窓ぎわの席だけが寒い、ということがなくなるので、家族でダイニングの席を取り合わなくなる。
夜、暖房を切ってから布団に入るまでのあいだ、部屋が一気に冷えません。買うのは断熱シート・すき間テープ・断熱カーテンの3つで、合わせて4,000円前後。お金がかかるのは最初の1回だけで、来年も再来年も同じ窓に使い回せます。
チェックするポイント
- 丈。掃き出し窓なら、カーテンの裾が床に1〜2センチ触れる長さを選びます。見た目を整えるだけなら、床上1センチが正しい丈です。ここでは冷気を止めるのが目的なので、裾を床に触れさせて、すき間から冷たい空気が回り込まないようにします。結露の出る窓では、裾が水を吸うので床上1センチで止め、冷気は窓枠の下に立てる断熱ボードで受けます
- 腰高窓は、窓枠より15〜20センチ長いカーテンを選びます。窓の下枠で切れている丈だと、窓で冷やされた空気が、その切れ目から床へ流れ出します
- 幅。測るのは窓枠ではなく、カーテンレールの端から端です。その寸法に2〜5%を足し、両開きなら2で割った数が1枚ぶんの幅になります(TOSO)。幅が足りないと、両わきのすき間から冷たい空気が回り込みます
- 生地の表示。「遮光1級」は光をさえぎる度合いの表示で、熱についての表示ではありません。見るのは「断熱」「保温」と書いてある行です
- カーテンに裏地が付いているか。裏に別の生地を重ねた型(裏地付き・2枚仕立て)なら、あいだに空気の層ができる
- カーテンレールの上をふさげるか。上のすき間から空気が出入りするので、レールカバーの付いた型か、上を閉じられる型を選びます
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