靴下を2枚はいても、足の先だけ冷たいまま。暖房は動いているのに、暖まるのは顔のあたりだけ。冬の夜に、そんなことはありませんか?
暖房の力が足りないのだと思っていませんか。足りているかどうかは、温度計を1つ置いても分かりません。床の数字が15度でも、高いのか低いのかは、比べる相手がいないと決まらないからです。
温度計を床の近くと、立ったときの目の高さの2か所に置くと、はじめて上下の差が分かります。上と下で10度近く差がつくこともあります。
暖房の熱が足りないとは限りません。暖かい空気は上にたまり、床の近くには冷たい空気が残ります。
やることは3つです。上にたまった暖かい空気を下ろすこと、窓から下りてくる冷気を止めること、床へ逃げる熱を止めること。それでも足りないときに、足元を直接温める機器を足します。
この記事はこんな方に向けて書いています
- 暖房をつけても、足の先だけ冷たい
- 設定温度を上げたら、請求書の数字だけが上がった
- 足元ヒーターを買ったのに、離れるとすぐ冷える
暖かい空気は天井へ上がって、床の近くに冷たい層が残ります
空気は温まると膨らんで、同じ量でも広い場所を占めます。同じ体積で比べたとき、暖かい空気が冷たい空気より軽いのはそのためです。
軽い暖かい空気は上へ行き、押しのけられた冷たい空気は入れ替わりに下へ落ちてきます。
空気の入れ替わりが続くのは、暖房をつけているあいだです。上がった暖かい空気は天井にたまり、床の近くには冷たい層が残ります。
人がいるのは、床から1メートルほどの高さ。座っていれば、もっと下になります。暖房でつくった熱のうち、人のいる高さに残るのは一部だけです。
暖かい層と冷たい層は、放っておいても混ざりません。室内に空気をかき混ぜるものが無ければ、この状態は朝まで続きます。
設定温度を上げれば、いつかは下まで暖まりませんか
設定を上げても、上と下の差は残ります。エアコンがどの高さで温度をはかっているかを見ると分かります。
エアコンの多くは、天井寄りの高さで温度をはかっています

では、リモコンに20度と出ているとき、どこが20度なのでしょうか。
多くの機種は、吸い込んだ空気の温度を本体の中ではかっています。室内機が付いているのは、壁の高い位置です。窓の上や、天井から数十センチのあたり。
つまりこうした機種が「設定温度になった」と判断しているのは、天井近くにたまった暖かい層です。そこが20度に届いた時点で、運転は弱まります。
床の近くがまだ冷たくても、エアコンにとっては部屋が暖まった状態です。
リモコンの数字を1度上げると、運転が弱まる温度が1度上がります。はかる高さは天井寄りのままです。上と下の差は残るので、床の近くはそれほど暖まりません。
電気の使用量は増えても、足先は冷たいままです。設定を上げる前に、上と下の温度差を縮めてください。
足元が冷える原因は、天井と窓と床にあります
足の冷たさは、天井にたまる暖かい空気だけでは説明がつきません。窓と床からも冷えが来ます。
原因は3つです。天井に暖かい空気がたまること、窓で冷やされた空気が下りてくること、床板から熱が逃げること。3つとも同じ部屋で同時に起きますが、どれが強く出るかは部屋によって違います。
床が冷たいのは、床板から下の地面や床下へ熱が伝わって逃げているからです。フローリングの板が薄く、その下の断熱材も少ない家だと、床板の温度は室温より低いままです。
足の熱は、まわりの空気より、ふれている床のほうへ早く逃げます。靴下は、体重で押しつぶされた足の裏の部分が薄くなり、そこから熱が床へ逃げます。靴下を重ねても足先だけ冷たいままなら、疑うのは床です。
| 原因 | 見分け方 | 打つ手 |
|---|---|---|
| 天井に暖かい空気がたまる(まわりが冷たい) | 床から10センチの高さが、立ったときの顔のあたりより冷たい | 天井の暖かい空気を下ろす |
| 窓で冷やされた空気が下りる(窓ぎわだけ冷たい) | 窓から1メートル以内の床だけが冷たい | 窓の前で冷気を止める |
| 床から熱が逃げる(床が冷たい) | スリッパを脱いで床に手のひらを当てると、ひやっとする | 床と足のあいだに層をはさむ |
表で当てはまった行が、お金をかける場所です。窓ぎわだけが冷たい部屋なら窓に、床が冷たい部屋なら床にお金をかけます。手をつける順番は、どの部屋でも同じです。
3つとも当てはまる部屋もあります。そのときは、窓と床の両方に対策が要ります。
窓で冷やされた空気が、床を這って足元まで来ます
窓のガラスは、室内でいちばん冷たい面です。壁と天井には断熱材が入っていることが多いのですが、窓にあるのは数ミリのガラス板とサッシだけ。
ガラスにふれた空気は、そこで冷やされます。冷えると重くなるので、ガラスを伝って下へ落ちます。落ちた先が床です。そこから床の上を、足先へ向かって流れていきます。
窓ぎわの席だけが寒いのは、冷気が落ちてくる場所のすぐそばだからです。足先だけを温めても、窓を放っておくかぎり、新しく冷えた空気が流れ込みます。
手をつける順番は、風向き・窓・床、最後に足元
お金のかからない風向きから始めて、窓、床の順に進みます。足元を温める機器は最後です。
窓と床の対策は、冷えのもとをふさぎます。足元を温める機器は、熱をあとから足すだけです。
| やること | 中身 | かかるお金 | やる部屋 |
|---|---|---|---|
| 風向き | エアコンの吹き出しを真下へ向ける | 0円 | どの部屋でも |
| 窓 | カーテンの丈を直す、ガラスに断熱の層を足す | 買い切りで数千円 | 窓ぎわだけ冷たい部屋 |
| 床 | 床と足のあいだに層をはさむ | 買い切りで数千円 | 床に手のひらを当てて、ひやっとする部屋 |
| 足元 | パネルヒーターで直接温める | 毎月の電気代 | 風向き・窓・床を直しても、まだ足りない部屋 |
足元の機器から始めたくなります。足先が、買ったその日から暖かいからです。ただ、足元の機器を置いても、窓からの冷気と天井の暖かい空気は残ったままです。
冷えのもとをふさがずに熱を足すと、毎月の電気代だけが増えます。 風向きから順に見ていきます。
エアコンの風向きは、真下へ向けます
最初にやるのは、リモコンで風の向きを変えることだけです。お金はかかりません。
暖房のときは、吹き出し口を真下に向けます。冷房とは逆向きです。冷たい空気は放っておいても下りてくるので、冷房では風を水平か上に向けます。暖かい空気は放っておくと下りてこないので、暖房では風で下へ押し出します。
風向きを自動にしていると、水平に近い角度で止まる機種もあるので、リモコンの風向きボタンで真下に固定してください。
真下に向けても暖かい風が床まで届かない部屋には、空気をかき混ぜる道具を足します。サーキュレーター(風をまっすぐ飛ばす送風機)を、真上へ向けて回します。
向ける先は、足元ではなく天井です。 天井にたまった暖かい空気は、下から吹き上げた風に押されて横へ広がります。広がった空気は壁にぶつかり、壁を伝って下りてきます。下りてきた空気が床の冷たい層を押しのけるので、上と下の空気が入れ替わる仕組みです。
足元へ向けると、この流れができません。冷たい層をかき回すだけで、暖かい空気は上に残ったままです。
風は、いちばん弱い設定で足ります。20ワットの機種を1日8時間、30日回すと4.8キロワットアワーで、約150円です(1キロワットアワーは、1000ワットの機器を1時間使ったときの電気の量。1キロワットアワー31円は全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価)。
持っている機種が真上を向かないときは、壁ぎわに置いて、向かいの壁の上のほうへ斜めに当てます。壁に当たった風が天井へ回るので、真上に当てたときと同じ流れができます。本体の下に板をはさんで角度をつける方法でも、かまいません。
夏に2階の暑さ対策で使ったものが家にあれば、向きを変えるだけで冬にも使えます。夏の置き方は2階だけ暑いときの記事にまとめました。
サーキュレーターの風は、足に向けたほうが早くないですか
足に当てると、風で体の熱を持っていかれて、かえって寒く感じます。真上に当てて壁伝いに下ろすほうが早いです。
窓から下りてくる冷気を止めます
風の向きを直しても、窓から冷気が下り続けるあいだは、足先の温度が上がりきりません。
止める場所は、窓とカーテンのあいだです。カーテンを引くと、ガラスとカーテンのあいだに動かない空気の層ができます。この層が動かないほど、ガラスで冷やされた空気は部屋へ出てきません。
冷気が出てきやすいのは、カーテンの裾です。裾が床から浮いていると、冷気はそこから流れ出ます。丈は、床に1センチから2センチ触れる長さにします。
ただし窓に水滴がつく部屋では、裾が床に触れていると生地が水を吸います。水滴の出る窓では床上1センチで止め、裾から下りてくる冷気は、窓枠の下に立てる断熱ボードで受けます。丈の決め方はカーテンの丈の記事にまとめました。
今のカーテンが短いときは、フックの位置を下げると数センチ下ろせます。フックを下げても床に届かなければ、丈の長いものに買い替えます。どちらもレールに吊るすだけなので、壁に跡は残りません。
ガラスそのものを冷やさない手もあります。窓に貼る断熱シートで、ガラスの手前に動かない空気の層をはさむやり方です。ただし網入りガラス・複層(ペア)ガラス・Low-Eガラスには、熱割れのおそれがあるので貼れません。貼れるガラスの見分け方は窓の結露の記事にまとめました。
窓は暖房の熱が逃げる場所でもあります。ここを直すと、足元の冷えと暖房費の両方が減ります。
床へ逃げる熱を止めます
上下の空気を入れ替えても、床板の温度は上がりません。足の裏から奪われる熱は、別の方法で止めます。
止め方は、床と足のあいだに動かない空気の層をはさむことです。断熱マットの中には発泡層があり、発泡層に閉じこめた空気が熱を伝わりにくくします。
見るのは厚みです。立っているときや椅子に座っているときは、床にふれるのは足の裏だけです。この場合は、10ミリ前後からを目安にします。床にじかに座ることが多い部屋では、おしりや脚からも熱が逃げるので、それより厚いものを選びます。
アルミの面が付いたものは、敷く向きを商品の表示に合わせてください。多くはアルミの面を上にする指定です。床へ逃げる熱を止めているのは中の発泡層なので、アルミだけの薄いシートでは足りません。
敷く場所は、ラグやカーペットの下です。上に敷くラグより一回り小さいものを選ぶと、ふちがはみ出しません。
厚みが15ミリと表示されているマットなら、床に座る部屋にも使えます。厚み15ミリの断熱マット(約3畳)
ラグを敷いていない部屋では、マットの上に薄いカーペットを1枚重ねます。マットの面はすべるので、そのまま歩く場所には向きません。部屋ぜんぶに敷かなくてよく、長く立つ場所、たとえば流しの前や机のまわりの広さで足ります。
空気の層をつくるもう1つの方法は、足にはくものです。足の甲まで覆う形のルームシューズなら、くるぶしから下に動かない空気の層ができます。コードがつながっていないので、立ったり座ったりの多い台所でも、はいたまま動けます。足の甲まで覆うブーツ型のルームシューズ
床の対策にかかるお金は、買うときの1回だけです。マットもルームシューズも電気を使わないので、月々の請求は増えません。
足元を直接温める機器は、最後に足します
風向き・窓・床を直したうえで、それでも足りないときに足します。
パネルヒーターのような機器は、電気を使い続けます。300ワットの機種を1日5時間、30日で45キロワットアワー。1キロワットアワー31円で、ひと月およそ1,400円です。サーキュレーターがひと月150円ほどなのに対して、こちらは1,400円ほど。毎月の出費がいちばん大きいのはここです。
机やテーブルの下で足の前後を囲むなら、パネルヒーター。薄い板の形をしていて、置き場所を取りません。デスク下に置く折りたたみのパネルヒーター
ワット数は300ワット前後から見ます。消費電力は、商品ページの仕様の欄で確かめてください。机の下のように囲われた場所なら、300ワットで足ります。600ワットや1,200ワットの機種は、囲いのない広い場所を手早く暖めるためのものです。
低い温度でも、同じ場所に長くふれていると低温やけどになります。同じ姿勢のまま当て続けないでください。布や紙をかぶせると熱がこもるので、かぶせずに使ってください。
よくある近道と、それでも足元が冷たいままの理由
順番を飛ばして、やりがちなことを挙げます。
設定温度を上げる
エアコンの多くがはかっているのは、高い位置の温度です。設定を上げても上と下の差は残るので、足先は冷たいままです。増えるのは電気代だけ。
逆に、設定を1度下げると、年間で約53キロワットアワーの電気が減ります。電気代にすると、およそ1,650円の節約です。21度を20度にした場合で、外気温6度・1日9時間の試算です(資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」)。先に上下をかき混ぜておくと、1度下げても寒く感じにくくなります。
足元ヒーターだけを置く
ヒーターの前にいるあいだは足先が暖かく、離れると元の温度に戻ります。上にたまった暖かい空気も、窓から下りてくる冷気も、そのまま残っているからです。
厚手のカーペットだけを敷く
カーペットで足ざわりの冷たさはやわらぎますが、踏むたびに繊維がつぶれて、あいだの空気の層が薄くなります。そうなると、床へ逃げる熱を止める力は弱くなります。熱を止めるには、カーペットの下に発泡層のマットを敷いてください。
窓を後回しにする
床にマットを敷いても、窓から下りてくる冷気は止まりません。マットの上を、冷えた空気が通っていきます。窓ぎわも冷たい部屋では、床だけ直しても足りません。
買う前に見る数字
商品ページのどの行を見るかは、買うものによって違います。
| 買うもの | 商品ページで見る行 | 目安 |
|---|---|---|
| 断熱マット | 厚み | 立つ・椅子なら10ミリ前後から。床に座るならそれより厚いもの |
| 断熱マット | サイズ | 上に敷くラグより一回り小さいもの |
| サーキュレーター | 上下の首振り | 真上(90度)まで向くこと |
| サーキュレーター | 到達距離 | 天井へ向けて使うなら10メートル以上 |
| パネルヒーター | 消費電力のワット数 | 300ワット前後(1日5時間でひと月およそ1,400円) |
天井へ向けて使うなら、到達距離の表示が10メートル以上あるものを目安にします。天井まで2.4メートルしかない部屋でも同じです。風は天井に当たったあと、壁を伝って床まで下りてきます。風が通る道のりは天井の高さよりずっと長いので、遠くまで届く機種を選んでおくと、弱い設定のままでも床まで風が届きます。
ただし測り方はメーカーごとに違うので、数字の大小だけで他社の品と比べないでください。10メートルあるかどうかの目安にします。
足を温める機器は、ワット数がそのまま電気代になります。1日5時間・30日で計算すると、300ワットで約1,400円です。600ワットなら約2,800円、1,200ワットなら約5,600円です(1キロワットアワー31円)。何ワットにするかは、ひと月にいくらまで払えるかで決めます。
よくある質問
Q. サーキュレーターは、どこへ向けて回しますか?
真上です。天井にたまっている暖かい空気に下から風を当てると、暖かい空気が横へ広がり、壁を伝って下りてきます。人に当てると、風で体の熱が奪われて寒く感じます。真上に向けられない機種では、向かいの壁の上のほうへ斜めに当ててください。
Q. こたつがあれば、ほかは要りませんか?
こたつの中は暖かくなりますが、上と下の差は残ります。立ち上がったときに寒く感じるので、空気をかき混ぜる対策は別に必要です。こたつ布団の下にマットを敷くと、床へ逃げる熱が減ります。
Q. 床暖房の部屋でも、断熱マットを敷けますか?
床暖房の部屋には敷かないでください。断熱マットは、床から上がってくる熱まで止めてしまいます。床暖房のある部屋では、風の向きと窓を直します。
Q. 一戸建てで、1階だけ寒いのはなぜですか?
原因の1つは階段です。階段が上下をつなぐので、1階で暖めた空気が2階へ抜けていきます。階段の上り口をのれんやカーテンでふさぐと、抜ける量が減ります。床下から逃げる熱には、階段とは別の対策が必要です。
Q. 足元ヒーターは、つけっぱなしで寝ても大丈夫ですか?
寝るときは切ってください。足元ヒーターは、取扱説明書で寝ているあいだの使用を禁じている型が多くあります。眠っていると姿勢を直せないので、低い温度でも同じ場所が温まり続けて、低温やけどになることがあります。
布や紙をかぶせると熱がこもるので、かぶせないでください。まわりにも燃えるものを置かないでください。
Q. 賃貸でも、窓の対策はできますか?
カーテンはレールに吊るすだけなので、壁に跡が残りません。丈が短いなら、フックを下げるか、長いものに買い替えてください。窓に貼る断熱シートは、水で貼る型ならガラスからはがせます。両面テープの型は、はがすときにサッシの塗装まで一緒にはがれることがあります。
まとめ
- 足が寒いのは、暖房で暖まった空気が上へ行き、床の近くに冷たい層が残るから
- エアコンの多くは、高い位置で温度をはかっている。設定を上げても、上下の差は残る
- 足元が冷える原因は、天井にたまる暖かい空気・窓から下りてくる冷気・床から逃げる熱
- 手をつける順番は、風向き・窓・床、最後に足元。足元の機器から始めると、毎月の電気代だけが増える
- 断熱マットの厚みは、立つ・椅子なら10ミリ前後から。サーキュレーターは真上まで向くもの
今夜、暖房をつけているあいだに、床の近くと目の高さで温度計を見比べてみてください。そのあとリモコンの風向きを真下に変えて、1時間ほどしてもう一度見ると、差が縮んだかどうかが分かります。
冬のほかの困りごと(窓の水滴、肌と喉の乾き、暖房費)をまとめたページは、冬の困りごとと解決グッズです。
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- 冬の困りごと:暖房をつけても足元が寒い
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