夏の困りごとと、使うもの
エアコンは動いている。設定温度も下げた。それなのに、部屋のどこかだけ暑かったり、夜中に目が覚めたりする。原因ごとに、手を打つ場所が違います。窓から入る熱、部屋の中の空気の回り方、背中にふれる寝具、エアコンの内側、外に出たときの体。当てはまるものから読んでください。
7〜9月ごろの話です。
夏に多いのは、この6つです。当てはまるものから読んでください。
夏に出てくる困りごと
冷房が当たる人は寒いのに、離れた人は暑い
リモコンを取り合っているわけではないのに、温度を下げれば誰かが羽織り、上げれば誰かが扇ぐ。家の中で気をつかっていませんか。

同じ部屋なのに、ひとりは羽織ものを出し、もうひとりは暑いと言う。温度をどちらに合わせても、誰かが我慢することになります。エアコンの冷気は、吹き出した向きに沿って流れる。
その通り道にいる人は風を直接受け続けて冷えすぎ、通り道から外れた場所には冷気が届きません。だから同じ部屋に、寒い人と暑い人が同時にいることになります。
暑い人に合わせて設定温度を下げると、寒い人がもっと寒くなるだけです。風が体に当たり続けると、皮膚の血管が縮んで血のめぐりが落ちます。
そのため、肩や首のまわりが冷えてこわばったり、頭が重くなったりする方もいます。

変えるのは設定温度ではなく、部屋の空気の回り方です。手を打つ順番が決まっています。まず、エアコンの羽根を上へ向けて、冷気を天井へ流す。こうすると、風を直接あびる人がいなくなります。
次に、サーキュレーター(風をまっすぐ遠くまで飛ばす送風機)を1台、壁か天井へ向けて置く。サーキュレーターの役目は、人に風を当てることではなく、部屋の空気をかき混ぜることです。
部屋の中の温度の差がなくなると、設定温度を1〜2度戻しても暑がる人が出ません。冷やしすぎをやめたぶん、電気代も下がります。
肩や首のこわばり、頭の重さが何日も続くときは、冷房のほかに原因があることもあります。無理をせず、医療機関で相談してください。
解決すると……
部屋の温度がそろうと、設定を1〜2度戻しても誰も暑がりません。家族の誰かが羽織ものを出したり、扇いだりしながらテレビを見る、ということがなくなります。
電気代も、設定を下げすぎていたぶんだけ下がります。
チェックするポイント
- 首振りが上下にも動くか。商品名か仕様表に「上下首振り」「3D首振り」「360度首振り」のどれかが入っていれば、真上へ向けられます。「左右首振り」としか書いていない型は、風を天井へ当てる使い方ができません
- DCモーター(弱い風に細かく調節できる方式)かどうか。夜に6時間・30日まわし、1キロワットアワー31円(公正取引協議会の目安単価)で計算します。DCは1時間0.5円ほどでひと月90円、ACは2円ほどでひと月360円。ひと月で270円ほどの差です
- いちばん弱い運転のデシベル(音の大きさの単位。40デシベルが図書館の中くらい)。テレビの音を上げたくないなら、30デシベル以下の型を選びます
- 前面のカバーが外れるか。外せないと羽根のホコリを取れず、2年目から風が弱くなります
寝苦しくて夜中に目が覚める
掛け布団は夏物にした。エアコンもつけている。それなのに、背中だけ汗ばんで目が覚める。もう体質だと思っていませんか。

夜中の2時ごろ、背中が汗ばんで目が覚める。朝までに何度も寝返りを打つので、起きても疲れが残ります。寝ているあいだにかいた汗は、体の上側なら空気中へ蒸発します。
背中側では、汗が蒸発しません。体重で敷き布団が押しつぶされ、繊維のあいだの空気の通り道がふさがるからです。濡れた生地が肌にふれたまま、体温で温められ続ける。
夜中に目が覚めるのは、この背中の濡れのせいです。
だから替えるのは掛け布団ではなく、背中が直接ふれる1枚です。接触冷感というのは、触れた瞬間に体の熱が生地へ移りやすい性質のこと。ひやっとするのは、布団に入った最初の1回だけです。
朝まで目を覚まさずに眠れるかどうかは、その冷たさではなく、体重をかけても生地がつぶれず、背中側に空気の通り道が残るかで決まります。
通り道が残っていれば、朝まで起きずに眠れる日が増えます。
解決すると……
背中に空気の通り道が残ると、寝返りのたびに汗が逃げていく。夜中に一度も起きずに、朝まで眠れます。エアコンの設定も1度戻せるので、朝の喉の痛みも軽くなります。
チェックするポイント
- Q-max(キューマックス。触れた瞬間に、体の熱がどれだけ生地へ移るかをあらわす数値)。0.2以上なら、布団に入った瞬間のひんやりが分かります
- 洗えるか、乾くか。汗を吸う1枚なので、週1回洗って夜までに乾く厚みかを見ます
- ゴムバンドが四隅か、全周か。全周のほうが寝返りでずれません
- 中に通気の層があるか。商品ページの断面写真で、表の生地の下に凹凸のウレタンか立体メッシュが入っている型を選びます。表面が冷たいだけの型は、体重で生地がつぶれると背中側の道がふさがり、汗が逃げなくなります
部屋に熱がこもる
帰ってドアを開けた瞬間の、あの熱気。エアコンをつけても、涼しくなるまで30分かかっていませんか。

帰宅してドアを開けたとたん、外より暑い空気が出てくる。冷房を入れても、室温はしばらく下がりません。
夏に家へ入ってくる熱のうち、7割ほどが窓から入ります(日本建材・住宅設備産業協会)。壁や屋根には断熱材が入っていますが、窓はガラス1枚か2枚。
日ざしはガラスを通り抜けて、床や家具に当たって熱に変わります。エアコンが効かないと感じる日は、冷やす力が足りないのではなく、入ってくる熱のほうが多いことがあります。

日ざしは、窓の外側で止めます。内側のカーテンでも日ざしはさえぎれますが、そのとき熱はもう部屋の中に入っています。日ざしで温まったカーテンから、熱が室内へ出ていく。
外側にすだれやシェードを付ければ、日ざしは部屋に入る前に止まります。同じ布でも、外に付けると、部屋に入る熱そのものが減ります。
解決すると……
日ざしの当たる時間に窓の外でさえぎっておくと、帰ったときの室温そのものが下がっています。「まず冷えるまで待つ」時間がなくなって、帰ってすぐ座れます。
冷やしはじめの室温が低いので、エアコンの設定を下げすぎずに済みます。
チェックするポイント
- 窓の外に付けられるか。内側のカーテンでは、熱はもう部屋に入っています
- 窓の幅より20センチ以上大きいか。同じ幅だと、両わきのすき間から日が回り込んでしまう
- 取り付けが、物干し竿かフックか。ベランダの形に合う留め方かどうか
- 巻き上げられるか。曇りの日や夕方に上げられないと、部屋が暗いままです
- 窓の外に付けられない家なら、ガラスに貼る遮熱フィルムにします。効果は外で止めるより落ちますが、内側のカーテンだけよりは入る熱が減ります。「遮熱」と書いてあるものが候補です。「UVカット」としか書いていない型は日ざしの熱を通すので、候補から外してください
2階だけ暑い
1階は涼しいのに、階段を上がった瞬間にむっとする。寝る前に、2階だけエアコンをもう1台。そう考えていませんか。

1階は涼しいのに、階段を上がったとたんにむっとした空気にぶつかる。寝室に入る気になれません。冷たい空気は暖かい空気より重いので、1階で冷やした空気は床にたまります。
階段があっても、冷気は上へは上がりません。そのうえ2階には、屋根で温まった熱が上から入ってくる。2階にエアコンがあっても、入ってくる熱のほうが多い日は室温が下がりにくくなります。

1階にたまった冷気は、サーキュレーターで2階へ運べます。いちばん上の困りごとと同じサーキュレーターですが、向きが違います。冷房のむらを直すときは、部屋の中で天井へ向けました。
2階へ運ぶときは、階段の下に1台置いて真上へ向けます。それだけで、1階にたまった冷気が2階へ移ります。あわせて、屋根や窓から入る熱を先に止める。
エアコンの増設は、工事費込みで10万円を超えます。冷気を運ぶサーキュレーターなら数千円で、置いたその日から2階の温度が下がります。
解決すると……
寝る1時間前にサーキュレーターを回しはじめると、布団に入るころには2階の空気が1階と同じくらいまで下がっています。
階段を上がったときのむっとした感じがなくなるので、寝室で着替えられます。エアコンの増設(工事費込みで10万円超)も、考えなくて済みます。
チェックするポイント
- 商品名に「上下首振り」「3D首振り」「360度首振り」が入っているか。階段の下から上へ冷気を送るので、真上を向けられないと2階まで届きません
- DCモーターかどうか。夜に8時間、30日まわして1時間0.5円なら、ひと月120円で済みます
- 階段の下に置ける大きさか。幅25センチ前後の小型で十分
- 前面のカバーが外れるか。ホコリで風が落ちると、2階まで届かなくなります
エアコンをつけた瞬間くさい
久しぶりにつけたとたんの、すっぱいようなにおい。窓を開けてにおいを逃がしながら、この空気を吸っていて大丈夫かと思っていませんか。

久しぶりにつけたとたん、すっぱいような、ほこりっぽいにおいが部屋じゅうに広がる。冷房は、内部の冷たい部品に空気を当てて温度を下げます。
そのとき空気にふくまれていた水が、冷たい面で水滴に戻る。冷えたコップの外側が濡れるのと同じです。運転を止めても、内部の水は残ったままです。濡れていて暗い場所なので、カビが育ちます。
次に運転したとき、カビのにおいがついた空気が最初に出てきます。

冷房を止める前に、エアコンの内部を乾かします。冷房を切る直前に送風だけを30分ほど回すと、内部の水が飛びます。
内部クリーン機能が付いた機種なら、リモコンで一度オンにしておくだけです。冷房を切ったあと、送風が自動で回る。
シーズンの初めに内部クリーンを設定しておけば、次の夏につけたときのにおいが出にくくなります。すでに出ているにおいは、洗浄スプレーでは消えないこともあります。
その場合は分解洗浄を頼むか、買い替えどきと考えてください。
解決すると……
においのもとが減ると、つけた瞬間から部屋の空気がにおいません。来客の前に窓を開けて逃がす、ということがなくなります。内部クリーンの設定は、シーズンの初めに1回で済みます。
チェックするポイント
- まず、使いはじめて何年たつかを見てください。10年より新しくて、においが出はじめたばかりなら、自分でスプレーをかけます。10年を超えているか、去年スプレーをかけてもにおいが消えなかったなら、分解洗浄か買い替えの見積もりへ進みます
- 自分でやるなら、フィルターの奥にある冷たくなる部品まで届くスプレーか。フィルター用だけでは届きません
- 内部クリーンの機能が本体にあるか。あれば、次からはにおいが出にくくなります
- 分解洗浄を頼むなら、1台1万〜1万5千円ほど。2台以上なら、台数割引のある業者かどうか
- 10年を超えている機種は、洗ってもにおいが消えないことがあります。買い替えの見積もりも一緒に取ります
外に出ると危ないほど暑い
少し歩いただけで汗が止まらず、頭がぼんやりしてくる。無理をしているつもりはないのに、と思っていませんか。

少し歩いただけで汗が止まらなくなり、頭がぼんやりしてくる。体の熱は、汗が蒸発するときに一緒に外へ出ていきます。
ところが湿度が高い日は、空気がそれ以上水を受け取れないので、汗が流れるだけで蒸発しません。そのぶん熱が体に残ります。
同じ気温でも湿度の高い日のほうが危ないのは、汗で熱を逃がせなくなるからです。

外でできることは3つあります。首・わきの下・足のつけ根は、太い血管が皮膚の近くを通る場所です。そこを冷やすと、冷えた血が全身をまわる。
汗で出た水と塩分を補わないと、汗そのものが出せなくなります。日ざしは当たった皮膚と服をそのまま温めるので、さえぎるだけで体に入る熱が減ります。
解決すると……
首を冷やして水と塩分を戻すと、外にいるあいだも頭がはっきりしています。帰ってから夕方まで動けない、ということがなくなります。翌日に疲れも残りません。
チェックするポイント
- 首に当たる面が、保冷剤か送風か。保冷剤なら、28度前後で固まる型を選ぶと、凍らせすぎて首が痛くなりません
- 何時間もつか。通勤なら2時間、屋外の仕事なら替えの保冷剤が付く型を選びます
- 重さ。150グラムを超えると、首に跡が残ってしまう
- 水と塩分は、経口補水液かスポーツ飲料か。汗をたくさんかく日は、塩分の書いてあるほうを選びます
- 日ざしをさえぎるのは、日傘か帽子か。日傘なら、内側が黒いものを選ぶと、地面からの照り返しも受けにくくなります
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