朝いちばんに窓を拭いて、雑巾を洗面所で絞る。冬のあいだ、それが毎日続いていませんか?
絞った水を見て、この水はどこから来たのだろうと思った人もいるはずです。
外から入ってきた水ではありません。冬の外はひどく乾いていて、窓も閉まっています。
窓についた水は、前の日にその部屋で出た水です。洗濯物も鍋も風呂も暖房も、そこにいる人も水を出しています。
家の中で出た水は、部屋でいちばん先に冷える窓の面に、水滴になって出てきます。
この記事はこんな方に向けて書いています
- 毎朝、窓とサッシの水を拭くのが冬じゅう続いている
- 吸水テープを貼ったのに、翌朝も同じだけ濡れている
- 窓枠のゴムに黒い点が出てきた
窓についた水は、前の日にその部屋で出た水です
ガラスに出た水滴は、その直前まで室内の空気にふくまれていた水です。
冬の外の空気には、水がほとんど入っていません。0度で湿度が60%なら、空気1立方メートルに入っている水は2.9グラムです。この空気を20度まで温めると、同じ体積に17グラムまで水を抱えられます。外から入ってくる水だけでは、窓を濡らすほどの量になりません。
だから、水の出どころは家の中です。翌朝ガラスに出る水は、前の日に室内へ出た水の量を超えません。
窓が濡れると、まず窓をなんとかしようと思いますよね。けれど窓は水の出どころではなく、たまった水が見えている場所です。
外の湿気が入ってきていると思っていました
冬に窓を開けると、うちの中はむしろ乾きます。%の数字ではなく、入っている水のグラム数で見てください。
家の中で出ている水を、リットルで数えます
1日にどれだけの水が部屋へ出ているかを数字にすると、どこから手をつけるかを決められます。
| 出どころ | 部屋へ出る水の量 | 出典 |
|---|---|---|
| 大人1人の呼吸と汗 | 1日およそ0.9リットル | 健康長寿ネット(公益財団法人長寿科学振興財団) |
| 洗濯物5キロを家の中に干す | 乾くまでにおよそ3リットル | 東京ガスの解説 |
| 開放式の石油ストーブ・石油ファンヒーター | 燃やした灯油1リットルにつき、およそ1リットル | 一般財団法人住宅金融普及協会 |
洗濯物1回の3リットルは、大人3人が丸1日かけて出す量より多い計算になります。燃やす暖房も同じ桁です。タンク1本ぶんの灯油を燃やせば、それとほぼ同じ量の水が室内へ出ます。
住んでいる人が出す0.9リットルは止められないので、手をつけられるのは部屋干しと燃やす暖房です。
拭いても吸わせても、水は家から出ていきません
毎朝雑巾で拭いた水は、雑巾の中に移っただけです。その雑巾を室内で乾かせば、水は部屋の空気へ戻ります。吸水テープが吸った水も、日中に乾いてまた空気にまじります。
拭いても吸わせても、水は家の中で場所を移るだけです。そのため、翌朝もまた同じだけガラスが濡れます。
水を家から出す方法は、換気で空気ごと外へ出すか、水を含んだものを外へ持っていくかの2つです。絞った雑巾を外に干したり、洗濯物をベランダか浴室へ移したりして、はじめて家の中の水が減ります。
吸水テープは無駄ということでしょうか
吸水テープには、窓枠に水をためない役目があります。枠のゴムにカビが出るのを遅らせられます。ただ、翌朝出る水の量は減りません。
朝の窓を見ると、前の晩に出した水の量が分かります
窓の水は減らしたいものですが、家の中の水の量を知る目印にもなります。朝のガラスの濡れ方と、前の晩にしたことを見比べてください。
| 朝のガラス | 前の晩に出た水 | 見にいくところ |
|---|---|---|
| 下のふちだけが曇る | 少なめ | そのままでかまいません |
| 全面が濡れて、サッシに水がたまる | 多い | 干した衣類、燃やす暖房、鍋 |
| 拭いた日の昼に、また曇る | 日中も出ている | 干したままの衣類、加湿器の設定 |
温湿度計は加湿器のそばを避けて、居間の真ん中に置いてください。ガラスの濡れ方と湿度の数字を合わせて見られます。湿度が50%を超えたあたりから、ガラスに出る水の量が増えます。
水の出どころを、ひとつずつ減らします
数えた出どころのうち、減らせるのは部屋干しと燃やす暖房の2つです。
1つめは、家の中に干すのをやめることです。洗濯物は浴室か脱衣所へ移し、扉を閉めて換気扇を回してください。同じ3リットルでも、浴室に出た水なら換気扇で外へ出せます。乾くのが遅くなるのが気になるなら、衣類乾燥のついた除湿機を浴室に入れ、扉を閉めて運転します。冬の寒い場所で使うなら、低い気温でも水を取れる型(デシカント式・ハイブリッド式)が向いています。
2つめは、燃やす暖房を替えることです。開放式の石油ストーブと石油ファンヒーターは、燃やした灯油と同じくらいの量の水を室内へ出します。エアコン、電気ストーブ、FF式(給気と排気を屋外とやりとりする型)のストーブなら、燃えたぶんの水は部屋に出ません。
台所と浴室も同じ考え方です。湯を沸かすあいだは換気扇を回してください。入浴のあとは浴室の扉を閉め、換気扇を回したままにします。残り湯を置くなら、ふたをしておきます。
出た水を外へ出せるのは換気だけです
すでに空気にまじった水は、窓を開けるか換気扇を回して外へ出すしかありません。
24時間換気の給気口は、壁や窓枠についている外につながる小さな口です。冬になるとこの口を閉じてしまう家がありますが、閉じると水の出口がふさがります。寒くても開けたままにしてください。
窓を開けて空気を入れ替えるなら、2か所を開けます。1か所だけだと、入ってくる口と出ていく口が同じになるので、奥まで入れ替わりません。
窓を開けると寒くなるのが気になりますが、入れ替わるのは空気で、壁も床も家具も熱を持ったままです。そのため、窓を閉めれば室温は戻ります。2か所を短い時間開けるほうが、1か所を長く開けるより早く換気が終わります。
ここまでやっても、窓は部屋でいちばん冷たい面です
家の中の水を減らしても、ガラスが冷たいままなら、冷えこむ朝にはやはり濡れます。ここからは、窓そのものの話です。
空気が抱えられる水の量には上限があり、温度が下がるほど上限は小さくなります。空気が水を抱えきれなくなる温度を、露点と呼びます。ガラスに水滴が出はじめるのは、表面温度が露点を下回ったときです。
日本板硝子の解説では、室温20度・湿度60%の空気の露点は12度です。ヤマダ硝子の解説では、同じ20度でも湿度70%なら露点は14.4度になります。湿度が高いほど、ガラスがそれほど冷えていなくても濡れます。前の節で50%を上限にしたのは、この温度に余裕を持たせるためです。
では、なぜ壁や天井は濡れずに、窓が濡れるのでしょうか。
壁と天井には断熱材が入っています。窓にあるのは、数ミリのガラス板とそれを支えるサッシだけです。部屋の中で外の寒さがいちばん近くまで来ている面は、ガラスです。

ガラスの表面温度を上げるには、ガラスと室内の空気とのあいだに動かない空気の層をはさみます。空気は熱を伝えにくいので、薄い層が1枚あるだけでガラスの表面が冷えにくくなります。窓に貼る断熱シートは、この空気の層を作るためのものです。プチプチのような気泡や凹凸が表面にある型だと、へこみのひとつずつに空気が閉じこめられます。
断熱シートは、家の窓のガラスで貼れるかが決まります
買う前に確かめるのは、うちの窓が貼ってよいガラスかどうかです。
| 家の窓のガラス | 見分け方 | シートを貼れるか |
|---|---|---|
| 1枚の透明ガラス | サッシの内側をのぞくと、板が1枚 | 貼れます |
| 網入りガラス | ガラスの中に細い金網が見える | 貼りません |
| 複層(ペア)ガラス | 板が2枚で、あいだに黒い縁が見える | 貼りません |
| すりガラス | 表面が白くざらついている | 「すりガラス対応」の品だけ |
網入りガラスと複層ガラスに貼らない理由は、熱割れです。日の当たった部分のガラスは温まって伸びますが、サッシに隠れた端は冷たいまま残ります。その温度差が大きくなると、ガラスにひびが入ります。シートを貼るとガラスに熱がこもり、この温度差が広がります。網入りガラスは中の金網とガラスで温まる速さがそろわないため、いっそう割れやすいガラスです。
Low-Eガラスは、表面に金属の膜をつけた熱を通しにくいガラスです。網入り・複層・Low-Eガラスの窓なら、ガラスにさわらない方法に替えてください。窓の内側に透明の断熱カーテンライナーを吊るすか、窓枠の下に断熱ボードを立てて置きます。ガラスに何も貼らないので、割れる心配はありません。水滴そのものは出るので、吸水テープは同じように貼ります。
すりガラスは、割れる心配とは別の理由で対応品しか使えません。表面の凹凸に吸盤も水も密着しないので、対応と書かれていない品は貼っても落ちます。
貼り方で、賃貸ではがせるかが決まります
水で貼る型は、霧吹きでガラスを濡らしてから貼りつけます。糊を使わないので、賃貸でもはがしやすく、跡が残りにくい型です。ふちだけをテープで留める品もあるので、ひと冬貼りっぱなしにせず、春に外してください。
両面テープの型は、はがすときにサッシの塗装ごとはがれることがあります。持ち家でも、サッシに跡を残したくないなら選ばないでください。
貼る時期にも条件があります。水で貼る型は、乾いたガラスにしか貼りつきません。すでに濡れている窓は拭いても数分でまた曇るので、貼り直しを繰り返すことになります。窓が濡れはじめる前の、まだ乾いているうちに貼ります。
大きさは、商品ページの「対応窓サイズ」で確かめます。水が出るのはガラスの面なので、ガラス全面をおおえる大きさを選んでください。
やりがちな間違い
ここまでの手当てをしても、水滴が減らなかったりカビが出たりするお宅があります。原因になりやすいものを並べます。
吸水テープを貼って、サッシのレールを見ない
吸水テープが受け止めるのは、ガラスを伝って落ちてくる途中の水です。テープより下のサッシのレールに入った水は、そのまま残ります。
レールには日が当たらず、砂とホコリもたまっているので、水が残るとテープを貼っていてもカビが出ます。窓を拭いたら、続けてレールの水も古歯ブラシと乾いた布で砂ごと取ってください。
カーテンを閉めきる
厚手のカーテンを閉めると、部屋の暖かさは保てます。そのかわり、カーテンと窓のあいだには暖房の熱が届かなくなり、ガラスの表面温度は閉めきる前より下がります。
朝はカーテンを開けて、暖かい空気をガラスに当てます。裾が床につく丈のカーテンは、落ちてきた水を吸ってカビが出ます。
出た水を拭かずに置く
カビが生えるには、水と栄養と温度の3つがそろう必要があります。窓のゴムパッキンには、結露の水と、溝にたまったホコリと花粉がそろった状態です。おそうじ革命の解説によると、カビが育つのは20〜30度で、暖房を入れた家の窓枠はこの範囲に入ります。ゴムに根を張った黒い点は、表面をこすっても落ちません。
この条件ならこれ
値段も在庫も動くので、買う前に確認してください。
1枚の透明ガラスで、賃貸のお宅
気泡の入った断熱シートのうち、水で貼る型を選びます。水で貼る窓用の断熱シートのあたりから選べます。サイズは、ガラス全面をおおえる大きさにしてください。
網入り・複層・Low-Eガラスのお宅
ガラスに何も貼らない方法を選びます。窓枠の下に立てる断熱ボードなら、サッシにも触れません。窓の下に立てる冷気ストップボード
出た水を枠に残さないなら
吸水テープなら結露の吸水テープ(10m・徳用)です。幅は窓枠の下ふちに合わせます。3〜10センチの品が多く出ています。長さは、貼る窓の幅を全部足してから決めてください。吸ったまま置くとテープにカビが出るので、ひと冬で貼り替えます。
逆に、避けたいもの
すりガラスに、対応と書かれていない品を貼るのは避けてください。表面の凹凸に密着しないので、貼っても落ちます。
よくある質問
Q. 内窓にしないと、結露は止まりませんか?
結露が止まるかどうかは、ガラスの表面温度が露点を下回るかどうかで決まります。湿度を下げれば露点も下がるので、1枚ガラスのままでも濡れない朝は出てきます。内窓はガラスの表面温度を上げる確かな方法ですが、1か所で数万円かかり、採寸に来てもらう日も要ります。先に湿度を下げてみれば、お金をかけずに結果を確かめられます。
Q. 換気をすると、外の湿った空気が入ってきませんか?
冬の外の空気は、湿度の%が高くても、入っている水の量は少ないです。0度・湿度60%の空気に入っている水は、1立方メートルあたり2.9グラム。この空気を20度まで温めても、水は2.9グラムのままです。20度の空気は17グラムまで抱えられるので、湿度の表示だけが下がります。冬に換気をすると、うちの中は乾きます。
Q. 加湿器を使いたいのですが、結露は避けられませんか?
温湿度計を部屋の真ん中に置いて、湿度50%を上限にしてください。室温20度で60%まで上げると、ガラスの表面が12度を下回ったところで水滴が出はじめます。喉の乾燥と窓の結露をどちらも避けたいなら、50%が上限です。
Q. サッシのレールにたまった水は、どこから来ているのですか?
ガラスの面に出た水が、重さで下へ流れ落ちたものです。吸水テープはガラスの下ふちに貼るので、流れ落ちる途中の水を受け止めます。テープより下へ入った水は受けられません。
Q. 窓枠のゴムが、すでに黒くなっています。落とせますか?
ゴムに根を張った黒い点は、表面をこすっても落ちません。おそうじ革命の解説では、塩素系漂白剤をジェル状にしたゴムパッキン専用のカビ取り剤を塗り、ラップで密着させて置いてから流します。奥まで染み込んだ色素は、業者に頼んでも完全には落とせないことがあります。作業するときは窓を開け、ほかの洗剤とは混ぜないでください。
Q. 断熱シートを貼ると、外が見えなくなりませんか?
気泡の入った型は、光は通しますが景色は見えなくなります。景色を残したいお宅は、透明の型を選んでください。透明の型は空気の層が薄いぶん、気泡の型より表面温度が上がりにくくなります。
まとめ
- 窓についた水は、前の日にその部屋で出た水。外から入るぶんでは、窓を濡らす量にならない
- 家の中へ出る水で大きいのは、部屋干しの洗濯物と、開放式の石油ストーブ
- 拭くことと吸わせることは水を移しているだけ。家から出せるのは換気と、濡れたものを外へ持っていくこと
- ガラスだけが濡れるのは、壁と天井に断熱材が入っていて、窓には入っていないから
- 断熱シートは、うちの窓が網入りガラスかペアガラスなら貼らない。ガラスにさわらない手に替える
今夜は、部屋に干している洗濯物を浴室へ移してみてください。そして翌朝、ガラスの濡れ方をいつもの朝と見比べます。
足元の寒さや肌と喉の乾き、暖房費といった冬のほかの困りごとは、冬の困りごとと解決グッズにまとめています。
秋の長雨で洗濯物が乾かない話は、秋のページへ。
この記事で挙げたものを、もう一度並べます。
商品は楽天で探して、★4.3以上のものを、レビューの多い順に並べています。 ★の数も価格も、売り切れかどうかも日ごとに書き替わります。押した先の商品ページで、いまの表示を確かめてください。
この話で使える便利グッズを、まとめて見る
- 冬の困りごと:窓に水滴がついて枠がカビる
加湿器を強くすると窓が濡れ、窓の水滴を減らそうとすると今度は部屋が乾く。冬は、この2つが同じ時期に起きます。 - 秋の困りごとと、使うもの
天気予報の湿度は9月も75%のまま。それでも喉が乾くのは、空気1立方メートルに入っている水が19グラムから16グラムへ減るからです。
リンク先は、どちらも広告を含むページです。