お店の入り口でアルコール消毒を手に取ったとたん、指先がぴりっとしみること、ありませんか?
しみるたびに、手荒れの原因は消毒液だと考えてしまいますよね。
ところが、アメリカの疾病対策センター(CDC)の医療現場向けの案内によると、アルコールの手指消毒剤は、石けんと水の手洗いより手の肌への刺激が少ないとされています。
消毒液がしみるなら、指の皮膚に細い割れ目が開いていることがあります。
割れ目が開いている指に、手荒れによく使われる尿素のクリームは塗れません。尿素のクリームの添付文書(箱に入っている説明書)に、亀裂(ひび割れ)のある部位には使わないよう書かれています。
しみるかどうかを見れば、割れ目があるかどうかの見当がつきます。塗るものを決めるのは、そのあとです。
この記事はこんな方に向けて書いています
- 寒くなると、指先がかさついて割れる
- 消毒液や洗剤がしみて、手荒れの原因が分からない
- 尿素、ヘパリン類似物質、薬用ハンドクリームのどれを買えばよいか決められない
手荒れ・ひび・あかぎれ・手湿疹は、割れ目とかゆみで見分ける
手の悩みには、呼び名がいくつもあります。手荒れ・ひび・あかぎれを分けるのは、割れ目の深さです。
ひびとあかぎれは、どちらも皮膚に入る線のような割れ目です。第一三共ヘルスケアの解説では、割れ目が深くなって赤くはれたり、血が出たりした状態を、一般に「あかぎれ」と呼んでいます。
手湿疹は、日本皮膚科学会の手湿疹診療ガイドラインで、外から触れた刺激やアレルギーのもとで起きる湿疹とされています。出るのは、かゆみや赤み、小さなぶつぶつや水ぶくれです。
同じガイドラインによると、刺激で起きる手湿疹は、乾燥や軽い赤みから始まることが多い。かさつくだけの手荒れと手湿疹のあいだに、はっきりした境目はありません。
| 呼び名 | 手のようす |
|---|---|
| 手荒れ(かさつき) | 指や手のひらが乾いて、ざらざらする。割れ目はない |
| ひび | 皮膚に細い割れ目が入る。消毒液や洗剤がしみる |
| あかぎれ | 割れ目が深くなり、赤くはれたり血がにじんだりする |
| 手湿疹 | かゆみ・赤み・小さなぶつぶつや水ぶくれが出る |
見分けるときは、割れ目があるか、かゆみがあるかの2つを見てください。
手のひらには、皮脂を出す腺がない
顔は洗っても、しばらくすると表面に脂が戻ってきます。手のひらはそうなりません。
持田ヘルスケアの解説によると、手のひらと手指には、脂を出す皮脂腺がありません。そのかわり、手のひらは角層(はがれ落ちる手前の細胞が重なった、肌のいちばん外側の層)が厚くなっています。
同じ解説では、手は皮脂腺がなく角層が厚いので乾きやすく、手を洗うとさらに乾くと説明しています。
手のひらと手指は、洗って脂が落ちても、皮脂腺から脂が補われない場所です。そこへ、1日に何度も水と洗剤がかかります。
水仕事で落ちるのは、手の表面をおおっていた脂
食器を洗う洗剤は、皿の油を落とすためのものです。洗剤にふれた手の表面の脂も、皿の油と同じように落ちます。
資生堂の皮膚科医のコラムでは、いわゆる主婦湿疹の原因を説明しています。水や洗剤、紙にふれる回数が多いと、手指の表面をおおう皮脂膜が減ったりなくなったりします。そのせいで、皮膚の守る力が落ちるという説明です。
手湿疹診療ガイドラインによると、手湿疹の約7割は刺激性の皮膚炎です。物理的・化学的な刺激が、皮膚を直接傷めて起きます。
ガイドラインが進行性指掌角皮症として挙げる手荒れは、始まる場所が決まっています。利き手の親指・人さし指・中指の先が乾いてざらつき、指紋が見えにくくなるのが始まりです。悪くなると、そこに割れ目が入ります。水仕事の多い人や美容師に多いとされています。
手荒れには、お湯の温度も関わっています。CDCは、手の肌を守るために、熱いお湯を避けるよう勧めています。食器を洗うお湯を熱いと感じるなら、温度を下げてください。
消毒液より、石けんで洗うほうが手は荒れやすい
手を清潔にする方法は、石けんと水で洗うか、アルコールの消毒剤を使うかの2つです。
CDCの医療従事者向けの案内によると、アルコールの手指消毒剤は、石けんと水より肌への刺激が少なく、肌も乾きにくい。使ったあとの肌の状態も、石けんで洗うよりよいとされています。
ただし、目に見える汚れがついているときは、CDCも石けんで洗うよう求めています。汚れが見えないときに洗うか消毒するかを選べるなら、手の負担が小さいのは消毒です。
消毒液がしみるのに、消毒のほうが荒れにくいんですか
消毒液がしみるのは、割れ目や荒れたところに消毒液がふれるからです。しみた時点で、手はもう荒れています。
寒くなると、汗と脂が減り、空気も乾く
秋の終わりから手荒れが増えるのは、水仕事に寒さが加わるからです。
第一三共ヘルスケアの解説によると、気温が下がると汗や皮脂の量が減り、血の流れも落ちます。そこに乾いた空気がふれて、皮膚が乾くという説明です。
手湿疹診療ガイドラインでも、手のひらと指全体が乾いて割れる「乾燥・亀裂型」の手湿疹は、冬に悪くなることが多いとされています。
水仕事と消毒は1年じゅう続きます。夏と同じ回数だけ手を洗っていても、寒い季節は割れ目ができやすいのです。
消毒液がしみる指は、割れ目を疑う
細い割れ目は、指を伸ばしていると閉じていて、目で見ても見つけにくいものです。
確かめやすいのは、消毒液や洗剤がしみるかどうか。医療用の尿素クリーム(ケラチナミンコーワクリーム20%)の添付文書にも、塗る場所に炎症や亀裂のある人には、ぴりぴり感などが出ると書かれています。割れ目や荒れたところに塗ったものは、しみやすいのです。
しみた場所を覚えておいて、指を曲げてその皮膚を見てください。細い線が見つかることがあります。
| 指のようす | 考えられる状態 |
|---|---|
| かさつくが、消毒液も洗剤もしみない | 割れ目のない手荒れ |
| 消毒液がしみるが、血は出ていない | 細い割れ目がある(ひび) |
| 割れ目から血がにじむ、赤くはれている | 深い割れ目がある(あかぎれ) |
| しみるうえに、かゆみや小さな水ぶくれがある | 手湿疹かもしれない |
尿素のクリームは、割れ目のある指に塗らない
尿素は、手荒れの塗り薬でよく見かける成分です。角質(はがれ落ちずに残った表面の細胞)をやわらかくします。
興和の「ケラチナミンコーワ20%尿素配合クリーム」は第3類医薬品です。第3類医薬品というのは、薬局やドラッグストアの棚で買える市販薬の区分のことです。効能・効果には「手指のあれ,ひじ・ひざ・かかと・くるぶしの角化症,老人の乾皮症,さめ肌」とあります。乾皮症とは、肌がかさついて粉をふく状態のことです。
同じ添付文書の「してはいけないこと」には、使わない部位として「引っかき傷等のきずぐち,亀裂(ひび割れ)部位」が並んでいます。「炎症部位(ただれ・赤くはれているところ)」も同じ欄です。
効能・効果に手荒れが入っていても、割れ目のある指には尿素を塗りません。消毒液がしみる指には、尿素もしみます。
尿素を使うのは、割れ目がなく、指先がかさついて硬くなっているときです。割れていた指なら、消毒液がしみなくなってからにしてください。
ハンドクリームの箱は、区分によって書ける言葉が違う
ハンドクリームの売り場には、化粧品、医薬部外品、医薬品が並んでいます。医薬部外品とは、国が認めた成分が決まった量だけ入っているもので、箱に「薬用」と書かれています。箱に書ける言葉は、区分ごとに決まっているんです。
| 区分 | 箱に書ける言葉の例 | 向く手 |
|---|---|---|
| 化粧品 | 「肌荒れを防ぐ」「皮膚の乾燥を防ぐ」「皮膚にうるおいを与える」 | 割れ目がなく、乾燥を防ぎたい |
| 医薬部外品(薬用) | 「あせも・しもやけ・ひび・あかぎれ・にきびを防ぐ」 | 割れ目がなく、ひびができるのを防ぎたい |
| 指定医薬部外品 | 「ひび・しもやけ・あかぎれ」など | ひび・あかぎれがある |
| 医薬品(ヘパリン類似物質) | 「手指のあれ」「手足のひび・あかぎれ」「乾皮症」など | ひび・あかぎれがある |
| 医薬品(尿素) | 「手指のあれ」「老人の乾皮症」など | 割れ目がなく、かさついて硬い |
化粧品と医薬部外品の言葉は、厚生労働省の通知「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」に載っています。薬用のハンドクリームの箱に書けるのは「ひび・あかぎれを防ぐ」までです。
いま割れている指に塗るものを探すなら、箱の効能・効果の欄に「ひび」「あかぎれ」とある医薬品か指定医薬部外品の棚を見てください。
ヘパリン類似物質は、水分を抱えこむ保湿の成分です。健栄製薬の「ヒルマイルドクリーム」(第2類医薬品)の効能・効果には、「手指のあれ」と「手足のひび・あかぎれ」の両方があります。添付文書で使わない部位とされているのは目や目の周囲と粘膜で、割れ目は挙がっていません。
ただし同じ添付文書には、血友病など出血しやすい病気の人は使わないよう書かれています。
指の状態べつに選ぶ1本
売り場で迷ったら、この表で決めてください。
| 指の状態 | 手に取るもの | 箱で見るところ |
|---|---|---|
| 割れ目はなく、かさつくだけ | ハンドクリーム(化粧品か薬用) | 「皮膚の乾燥を防ぐ」「ひび・あかぎれを防ぐ」 |
| 割れ目はなく、指先が硬くざらつく | 尿素のクリーム(医薬品) | 効能・効果に「手指のあれ」 |
| 消毒液がしみるが、血は出ていない | ヘパリン類似物質などの医薬品か、指定医薬部外品 | 効能・効果に「ひび」「あかぎれ」 |
| 割れ目から血がにじむ、赤くはれている | 上と同じ医薬品。または皮膚科 | 効能・効果に「ひび」「あかぎれ」 |
| かゆみ・赤み・小さな水ぶくれがある | 皮膚科 | 箱ではなく、医師の診察 |
割れ目がある指に塗るのは、ヒルマイルドクリーム 30g【第2類医薬品】のような、効能・効果に「手足のひび・あかぎれ」とあるヘパリン類似物質の塗り薬です。効能・効果に「手指のあれ」もあるので、割れ目のない指にも使えます。弱点は、ハンドクリームより1本の値段が高いことです。
消毒液がしみなくなって、指先の硬さだけが残ったら、ケラチナミンコーワ20%尿素配合クリーム 60g【第3類医薬品】のような尿素のクリームに移ります。しみる日があるうちは、まだ移らないでください。
割れ目もなく、かさつきを防ぎたいだけなら、うるおもい 薬用ハンドクリーム 70g【医薬部外品】のような、メーカーの商品説明に「しもやけ、ひび、あかぎれを防ぎます」とある薬用ハンドクリームで足ります。こちらは、いま割れている指を手当てするものではありません。
3本とも買わないとだめですか
いまの指に合う1本だけで大丈夫です。割れ目があるなら「ひび」「あかぎれ」とある医薬品、ないならハンドクリームか尿素です。
水仕事のゴム手袋は、下に綿の手袋をはく
塗るのと合わせて、手に水と洗剤がふれる回数を減らしてください。
手湿疹診療ガイドラインは、水仕事のときに保護手袋を使うよう勧めています。家事なら、ゴム製か塩化ビニール製の家事用手袋です。
ただし同じガイドラインには、保護手袋をはくこと自体が皮膚の刺激になる場合もある、と書かれています。洗剤を何度も使いながら長い時間はくと、皮膚がさらに傷む。そのため、長くはくときは下に綿の手袋をはき、はく時間をなるべく短くするよう勧めています。
ゴム手袋そのものが、治りにくい手湿疹の原因になることもあります。手袋をはいた日にかゆみが強くなるなら、皮膚科で相談してください。
皮膚科へ行く目安
塗り薬を買う前に、皮膚科へ行ったほうがよい手もあります。
かゆみ、赤み、小さな水ぶくれが出ているなら、手湿疹かもしれません。保湿の塗り薬を買う前に、皮膚科へ行ってください。
片手だけに症状が出ているときも、皮膚科へ行ってください。手湿疹診療ガイドラインでは、手の白癬(水虫と同じカビ)は片側に出ることが多いとされています。カビが原因なら、保湿の塗り薬では対処できません。
市販薬を使っている人は、箱の注意書きにある日数を目安にしてください。ヒルマイルドクリームの添付文書には「5〜6日間使用しても症状がよくならない場合」、ケラチナミンコーワ20%尿素配合クリームには「2週間使用しても症状がよくならない場合」は、使うのをやめて医師・薬剤師・登録販売者に相談するよう書かれています。
割れ目がじくじくしている、ただれがひどいときも、使う前に相談してください。ヒルマイルドクリームの添付文書は「湿潤やただれのひどい人」を、使う前に相談する人に挙げています。
よくある質問
Q. 消毒液がしみるなら、消毒をやめたほうがよいですか?
やめないでください。CDCは、目に見える汚れがないときは、石けんで洗うよりアルコール消毒のほうが手の肌を荒らしにくいとしています。しみる割れ目は、ひび・あかぎれの医薬品で手当てします。
Q. 薬用ハンドクリームを、いま割れている指に塗ってもよいですか?
薬用ハンドクリームの箱に書けるのは「ひび・あかぎれを防ぐ」までです。いま割れている指には、効能・効果に「ひび」「あかぎれ」とある医薬品か指定医薬部外品を選んでください。
Q. 尿素のクリームを顔にも塗ってよいですか?
塗らないでください。ケラチナミンコーワ20%尿素配合クリームの添付文書には、化粧品ではないので、基礎化粧などの目的で顔に使わないよう書かれています。
Q. 子どもの手荒れに、尿素のクリームを使えますか?
ケラチナミンコーワ20%尿素配合クリームの添付文書には、15歳未満の小児には使わせないとあります。ほかの商品も、箱の用法の欄で年齢を確かめてください。
Q. ハンドクリームは、いつ塗ればよいですか?
手を洗って、水けをふいたあとです。CDCは、手を清潔にすることで起きる乾燥を、ローションやクリームで防げるとしています。手湿疹診療ガイドラインも、保湿剤を使うことを勧めています。
Q. 手袋をはくと、かえってかゆくなるのはなぜですか?
ゴム手袋そのものが、手湿疹の原因になっていることがあります。綿の手袋を下にはいてもかゆいなら、皮膚科で相談してください。皮膚科では、どの素材に反応しているかを調べられることがあります。
まとめ
- 手のひらと手指には皮脂腺がなく、水と洗剤で落ちた脂が皮脂腺から補われない
- 手を清潔にする方法では、石けんで洗うほうがアルコール消毒より手の肌を荒らしやすい(CDC)
- 寒くなると汗と脂が減り、空気も乾いて、割れ目ができやすくなる
- 消毒液がしみる指は、割れ目が開いていることがある。尿素のクリームは割れ目に使えないと添付文書にある
- 割れ目があるなら効能・効果に「ひび」「あかぎれ」とある医薬品か指定医薬部外品、割れ目がないならハンドクリームか尿素。尿素は消毒液がしみなくなってから
- かゆみ・赤み・水ぶくれ、片手だけの症状は皮膚科へ
尿素とヘパリン類似物質の箱の見方は、かかと・ひじのクリームの選び方にまとめてあります。
顔の乾燥の手当ては、乾燥肌の化粧品の選び方をご覧ください。かかとが割れるときは、かかとのガサガサの記事に手当てを書きました。
次にアルコール消毒を使うとき、しみる指がどこかを確かめてみてください。
この記事で挙げたものを、もう一度並べます。
商品は楽天で探して、★4.3以上のものを、レビューの多い順に並べています。 ★の数も価格も、売り切れかどうかも日ごとに書き替わります。押した先の商品ページで、いまの表示を確かめてください。
この話に出てきた化粧品を、まとめて見る
- かかと・ひじのクリームの選び方|硬さ・粉ふき・ひび割れ別に使うもの
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