かかとがざらついて、はいたばかりのストッキングが引っかかってしまいます。乾燥だろうと見当をつけて、顔に使って余った乳液を塗り足すこと、ありませんか?
乾燥のせいだと思って、塗る量を増やしがちです。でも、かかとを厚くしている大もとは、乾燥ではありません。歩くたびにかかる体重と、靴の内側のこすれです。
こすられた場所では、はがれ落ちるはずの細胞が残ります。残った層が重なって、角層(肌のいちばん外側にある、はがれ落ちる手前の細胞の層)が厚くなっていきます。そこに乾燥が加わると、層が硬くなり、厚みも少し増えます。
厚みの大もとがこすれなので、水と油を足しても、積み上がった分は減りません。軽石で削っても厚みが戻ってくるのも、こすれが続くからです。
この記事はこんな方に向けて書いています
- かかとがざらついて、ストッキングや布団に引っかかる
- 保湿のクリームを塗っているのに、かかとの縁だけ硬いまま
- 軽石で削っても、しばらくすると同じところが硬くなる
かかとを厚くする大もとは、体重と靴のこすれ
肌の細胞は奥で生まれ、上へ押し上げられて、いちばん外まで来るとはがれ落ちます。生まれる速さと落ちる速さがつり合っていれば、厚さは増えも減りもしません。
かかとには、歩くたびに体重がかかります。そのうえ、かかとは靴の内側や床とこすれ合う場所です。くり返し押されてこすられる場所では、角層が厚いまま保たれます。下の層を守るしくみで、はがれ落ちるはずの細胞がそのまま残っていきます。
残った1枚に、次の1枚が重なります。厚くなっているのは、いちばん体重が乗って、いちばんこすられている場所です。
足の裏を見ると、そこがはっきり分かります。厚いのはかかとの縁と、親指のつけ根。土踏まずは、同じ足の裏でも薄いままです。
| 見るところ | 顔 | かかと |
|---|---|---|
| 角層の厚さ | 0.02ミリほど | 厚いところでは1ミリを超えることもある |
| 上からかかる力 | ほとんどかからない | 歩くたびに体重がかかる |
| こすれる相手 | 手・タオル | 靴の内側・床 |

乾燥は、厚くなった層を硬くする
乾燥も、かかとの硬さに関わっています。厚みを積む大もとはこすれで、乾燥はその層を硬くし、厚みにも少し足します。
角層の水が減ると、細胞どうしの結びつきがほどけにくくなります。ほどけない1枚は、はがれる時期が来ても肌から離れません。こすれで残る分に、乾燥で残る分が少し加わります。
水の減った層は、曲がりません。かかとは歩くたびに曲がるので、曲がらない厚い層は、曲がるところで裂けます。ひび割れが入るのは、そのためです。
厚みの大もとが乾燥ではないなら、保湿はしなくてよいのでしょうか
割れるのを防ぐのが保湿の役目です。厚みを減らすには、層をゆるめる成分が要ります。2つを分けて考えてください。
顔用のクリームを足しても、厚みは減らない
顔用の乳液とクリームは、薄い顔の角層に使うものです。かかとの厚い層に同じものを塗っても、いちばん外の硬い部分でとどまります。
届いたとしても、水と油では、積み上がった細胞ははがれません。減らすには、細胞どうしの結びつきをゆるめる成分が要ります。
だから、塗る回数を足しても、かかとの縁のざらつきは残ります。回数を増やすより、塗るものを替えるほうが先です。
削っても、また厚くなる
軽石ややすりで削ると、その日は薄くなります。ところが、削っても、体重と靴の内側のこすれは減りません。翌日から同じだけかかります。
削って新しく出た面も、そのまま靴と床に当たるので、はがれ落ちるはずの細胞がまた残ります。削ったあとの面にも、同じように細胞が積み上がっていきます。
削るなら、乾いているときです。湯にふれてふやけた層は、硬いところと軟らかいところの境目が分からなくなります。一度に厚く削らず、薄く落としてください。
軽石ややすりを深く当てると、痛みが残ります。毎日の手当ては塗るだけにして、削るのは間をあけてときどきにしてください。
糖尿病で足の感覚が鈍い方は、かかとを自分で削らず、医療機関で相談してください。削りすぎた傷に気づけないことがあります。
毎日の手当ては、削るより塗る
売り場では、やすりとクリームが隣どうしに置いてあります。そのため、削るのが先で塗るのはあと、と思っている方が多いかもしれません。
毎日やるのは、塗ることです。塗って層をやわらかくするのが中心で、削るのは乾いているときに、間をあけてときどきで足ります。
やわらかくするのは、毎日塗るクリームの役目です。尿素10〜20%の医薬品のクリームが、積み上がった層の結びつきをゆるめます。ゆるんだ層は、こすれで残った細胞も含めて、はがれ落ちやすくなります。
塗るのは、お風呂から上がって数分以内です。湯にふれたあとの角層には、水がしみこんでいます。そのまま置くと、しみこんだ水は空気へ逃げていきます。
塗ったら、すぐに靴下をはいてふたをしてください。靴下をはくと、クリームがシーツや布団へ移りにくくなります。
朝に塗ると、靴の中でこすれて、クリームが落ちやすくなります。1日1回にするなら、夜を選んでください。
足の下に敷くもので、こすれを減らす
厚みの大もとがこすれなら、こすれそのものを減らすこともできます。塗るのとあわせて、かかとが何に当たっているかも見てください。
かかとが当たっているのは3か所です。靴のかかとの内側、素足で歩く床、サンダルのかかとの縁。
靴の内側なら、かかとにパッドを貼ったり、中敷きを入れ替えたりすると、当たる位置がずれます。家で素足のまま歩く時間が長いなら、スリッパをはくだけで床とこすれる回数が減ります。サンダルは、かかとが縁からはみ出さない大きさのものに替えてください。かかとが縁に当たらなくなります。
塗るのを続けても、当たり続けるかぎり、削ったところに細胞がまた積み上がります。当たる場所をずらすのは、パッドや中敷き、スリッパの役目です。
かかとは、硬いだけ・粉をふく・割れているの3つに分かれます
こすれを減らしたうえで、塗るものを選びます。売り場では「かかとケア」の棚にまとめて並びますが、手に取るものは3つに分かれます。分ける目印は、足の裏の見た目です。
硬いだけなら、厚みをゆるめる成分。白く粉をふいているなら、水を抱える成分。割れて血がにじんでいるなら、箱に「ひび・あかぎれ」と書いてある医薬品です。割れ目が閉じてきたら、しみにくい油で表面をおおって、乾かさないようにします。
| 名前 | 何をするか | 向く状態 |
|---|---|---|
| 尿素 | 硬くなった角質(はがれ落ちずに残った表面の細胞)をやわらかくする | 硬く厚くなっているだけ |
| ヘパリン類似物質(保湿の塗り薬に入っている成分) | 水分を抱えこんで、肌にとどめる | 白く粉をふいている |
| ワセリン | 表面をおおって、水分が逃げるのを防ぐ | 割れ目が閉じてきた |
尿素は積み上がった層をゆるめ、ヘパリン類似物質は水を抱えます。ワセリンの役目は、水が逃げないように表面をおおうことです。
硬くて厚いかかとに、水を抱える成分だけを塗っても、厚みはそのまま残ります。逆に、割れているかかとに尿素を塗ると、割れ目にしみます。
尿素のクリームは、箱の「尿素10〜20%」を見る
角質をやわらかくするのが、尿素の役目です。積み上がった層をゆるめて、はがれやすい状態に戻します。
かかと用に尿素を選ぶなら、箱に「尿素10〜20%」と書かれた医薬品を探します。多くは第3類医薬品(薬局やドラッグストアの棚で買える市販薬の区分)です。「尿素配合」とだけ書いたクリームは、化粧品のことがあり、濃さも書かれていません。化粧品のクリームにできるのは、うるおいを与えて乾燥を防ぐところまでです。
使う場所は限られます。顔の皮膚は体より薄いので、かかと用の濃さだとしみるように感じます。かかと用の尿素のクリームは、顔には塗りません。
かかとが割れて血がにじんでいるときも、尿素は選びません。血がにじんでいるあいだは、箱に「ひび・あかぎれ」と書いてある医薬品を選ぶか、皮膚科へ行ってください。割れ目が閉じてきたら、ワセリンで表面をおおって、乾かさないようにします。ワセリンは、しみにくい油です。
割れ目が浅くなってきたら、もう尿素に移ってよいですか
割れ目が閉じきってからにしてください。閉じないうちに尿素を重ねると、塗るたびに痛みが出て、続きません。
粉をふいているときに選ぶ、ヘパリン類似物質
かかとが硬いというより、白く粉をふいているなら、手に取るのはヘパリン類似物質です。硬くなった層をゆるめる尿素とは、はたらきが違います。
ヘパリン類似物質は、医薬品か医薬部外品として売られています。医薬部外品(国が認めた成分が、決まった量だけ入っているもの)の箱に書けるのは、「肌あれ・あれ性」「皮膚の乾燥を防ぐ」の範囲です。
医薬品と医薬部外品のどちらを取るかは、値段より、箱の「効能・効果」の欄で決めます。粉をふいているなら、欄に「乾皮症」とある、ヘパリン類似物質の医薬品を選びます。乾皮症というのは、肌がかさついて粉をふく状態のことです。
尿素のクリームとヘパリン類似物質の塗り薬を、同時に買い足さないでください。1本ずつ試すと、合わなかったのがどちらか分かります。
かかとの状態べつに選ぶ1本
売り場で箱を見るときは、この表で決めてください。
| かかとの状態 | 手に取るもの | 箱で見るところ |
|---|---|---|
| 硬く厚くなっているだけ | 尿素のかかと用クリーム(医薬品) | 「尿素10〜20%」と書かれ、効能・効果の欄に「かかと」と書かれているもの |
| 粉をふいている | ヘパリン類似物質の塗り薬(医薬品) | 効能・効果の欄に「乾皮症」とあるもの |
| 硬いうえに粉もふいている | まず尿素のかかと用クリームを1本 | 上の「硬く厚くなっているだけ」と同じ |
| 割れて血がにじんでいる | 「ひび・あかぎれ」と書いてある医薬品。または皮膚科 | 効能・効果の欄に「ひび・あかぎれ」とあるもの |
| 割れ目が閉じてきた | ワセリンで表面をおおう。閉じきったら尿素へ | 特になし |
| 皮がむけてかゆみもある | 皮膚科 | 箱ではなく、医師の診察 |
硬く厚くなっているだけなら、尿素20%のクリーム(第3類医薬品)のような、箱に「尿素20%」と書かれた医薬品のクリームです。弱点は、割れているかかとには使えないこと。割れ目が閉じるまで待つことになります。
割れていたかかとの割れ目が閉じてきたら、高純度ワセリン(サンホワイトP-1・50g)のような、しみにくい油で表面をおおって、乾かさないようにします。この油には厚みをゆるめる力がないので、割れ目が閉じきったら尿素のクリームへ移ってください。血がにじんでいるあいだは、この油は使わず、箱に「ひび・あかぎれ」と書いてある医薬品を選ぶか、皮膚科へ行ってください。
塗ったクリームにふたをするのは、かかとをおおう保湿ソックスのような、かかとをおおう靴下です。寝ているあいだにクリームがシーツへ移ると、塗った量が減ります。値段の幅が広いので、洗い替えを2足そろえられる価格から選んでください。
粉をふいているだけなら、尿素のクリームの代わりに、薬局の棚でヘパリン類似物質の塗り薬を選んでください。効能・効果の欄に「乾皮症」とあるものです。
素足になる季節に入ってから塗りはじめると、縁のざらつきが落ち着くころには、その季節が終わっています。買うのは、サンダルを出す1〜2か月前です。
3つとも買わないとだめですか
硬いだけなら、尿素のクリームと靴下の2つで足ります。ワセリンが要るのは、割れていたかかとの割れ目が閉じてきたときだけです。
縁の硬さが落ち着くまでの日数と、皮膚科へ行く目安
塗りはじめてから縁の硬さが落ち着くまでには、日数がかかります。肌の細胞は奥で生まれ、押し上げられて、最後は表面から離れます。1周するのにかかる日数は、顔でも数週間です。かかとは層が厚いぶん、さらに延びます。
厚い層は、少しずつしかはがれません。塗りはじめて2週間でやめないでください。
いっぽうで、待たずに皮膚科へ行ったほうがよいときもあります。皮がぼろぼろとむけてかゆいとき。片足だけに症状が出ているとき。爪が白く濁って厚くなったとき。どれかにあてはまるなら、皮膚科へ。
かかとのかさつきに見えても、じつは水虫の原因のカビ(白癬菌)が入っていることがあります。カビが原因なら、保湿のクリームでは対処できません。
割れ目から血がにじんだまま2週間が過ぎたときも、薬局の棚で探さずに皮膚科へ行ってください。
よくある質問
Q. 削ってはいけないのですか?
分厚く残った層は、削れば一度は薄くなります。ただ、削ったあとの面もまた靴と床に当たるので、削るだけでは厚みが戻ってきます。尿素のクリームと組にして、削るのは間をあけてときどきにしてください。
Q. 靴を替えたら、かかとの厚みは減りますか?
当たる位置が変われば、そこに積み上がる分は減ります。ただし、すでに厚くなっている層は、当たらなくなっただけでは早く落ちません。尿素のクリームを続けるのが先になります。
Q. かかと用のクリームを、顔にも塗ってよいですか?
塗らないでください。かかと用の尿素のクリームは濃く、顔の皮膚は体より薄いので、しみるように感じます。顔には顔用として売られているものを使ってください。
Q. 尿素のクリームがしみます。使い続けてよいですか?
しみるなら、そこで止めてください。目に見えない細かい割れ目が入っていることがあります。割れ目が閉じるまでは尿素を休み、ワセリンで表面をおおって乾かさないようにします。閉じたら、尿素のクリームに戻してください。血がにじむようなら、「ひび・あかぎれ」と書いてある医薬品を選ぶか、皮膚科へ行ってください。
Q. 靴下をはいて寝ると蒸れます。はかないとだめですか?
蒸れるなら、綿のものに替えるか、はく時間を寝る前の1時間だけにしてください。塗ってから1時間はいておくだけでも、シーツへ移る量は減ります。
Q. ひじとひざのざらつきにも、同じクリームを使えますか?
使えます。尿素の医薬品の箱では、効能・効果の欄に、ひじとひざもかかとと並んで書いてあります。塗ったあとは、長そでや長ズボンでおおってください。クリームが落ちにくくなります。
まとめ
- かかとを厚くしている大もとは、歩くたびの体重と、靴の内側のこすれ
- 乾燥は、厚くなった層を硬くして、厚みにも少し足す。硬い層は曲がるところで裂ける
- 顔の角層は0.02ミリほど、かかとは厚いところで1ミリを超えることもある。顔用のクリームは表面でとどまる
- 削っても厚みが戻るのは、削って出た面が、また靴と床に当たるから
- 毎日の手当ては塗ること。削るのは乾いているときに、ときどき。塗るのはお風呂から上がって数分以内で、そのあと靴下をはく
- 硬いだけなら「尿素10〜20%」の医薬品、粉をふくなら「乾皮症」とあるヘパリン類似物質の医薬品、割れて血がにじんでいるなら「ひび・あかぎれ」とある医薬品か皮膚科、割れ目が閉じてきたらワセリンで表面をおおう
かかとの成分と箱の表示はかかと・ひじのガサガサのページに、粉をふいているときの手当ては乾燥のページにまとめてあります。
お風呂から上がったら、まず足の裏のどこが厚いかを見てください。当たっている場所と、厚くなっている場所は重なります。
この記事で挙げたものを、もう一度並べます。
商品は楽天で探して、★4.3以上のものを、レビューの多い順に並べています。 ★の数も価格も、売り切れかどうかも日ごとに書き替わります。押した先の商品ページで、いまの表示を確かめてください。
この話に出てきた化粧品を、まとめて見る
- かかと・ひじのガサガサに使うもの、選び方
読み終わると、かかとの角層(肌のいちばん外側にある、はがれ落ちる手前の細胞の層)が顔よりずっと厚いことが分かります。顔用の乳液では届かないわけと、選ぶ尿素の濃さも決まります。 - 乾燥に使うもの、選び方
読み終わると、足りないのが水なのか、水をつかむ脂(セラミド)なのかが分かります。化粧水のほかに何を買い足すかも決まります。
リンク先は、どちらも広告を含むページです。