セーターを着るときに、指のささくれが毛糸に引っかかること、ありませんか? 気になって指でむくと、血がにじむこともあります。寒くなると、そんな日が増えます。
ささくれは乾燥のせいだと考えて、ハンドクリームを塗り直す方も多いでしょう。
けれど、爪のまわりの皮膚を傷めるのは乾燥だけではありません。ささくれをむく、甘皮を切る、爪を短く切りすぎる。指先を整えるつもりの手入れも、爪のまわりの皮膚を傷めます。
医学事典のMSDマニュアルは、ささくれや甘皮の傷から細菌が入り、爪のまわりが化膿する病気を挙げています。爪囲炎(そういえん)です。日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aでは、爪郭炎(そうかくえん)と呼んでいます。
ささくれと爪囲炎は、赤み・腫れ・痛み・膿の4つで見分けられます。
この記事はこんな方に向けて書いています
- 冬になると、指のささくれが何本もできる
- ささくれを、つい引っ張ってむいてしまう
- 爪のまわりが赤く腫れてきて、病院へ行くか迷っている
ささくれは、爪のまわりの皮膚が乾いて裂けたもの
ささくれは、爪の両わきや根元の皮膚が裂けて、細くめくれ上がったものです。さかむけとも呼ばれます。
日本ネイリスト協会が2017年に20〜49歳の723人に聞いた調査では、6割を超える人がささくれを経験していました。手指の悩みのなかで、いちばん多い答えです。
同じ調査で、悩みが出る季節を「冬場」と答えた人は55%でした。「夏場」は2%ほどです。
悩みの原因に「乾燥によるダメージ」を挙げた人は70%を超えています。次に多いのが「炊事・洗濯などの水仕事」で、50%を超えました。
水仕事では、食器を洗う洗剤が皿の油を落とします。指先の皮膚の表面をおおっていた脂も、同じように落ちます。手のひらと手指の乾燥の仕組みは、手荒れ・あかぎれの記事にまとめました。
消毒液がしみるなら、ささくれの根元が裂けている
ささくれの根元には、細い裂け目が開いています。
アルコールの消毒液が指先の一点だけにぴりっとしみたら、その指の爪のまわりを見てください。
しみるからといって、消毒をやめる必要はありません。アルコール消毒と石けんの手洗いのどちらが手を荒らしにくいかは、手荒れ・あかぎれの記事で取り上げています。
しみるのは、消毒液が強すぎるからではないんですか
しみるのは、裂け目に消毒液が入るからです。しみた指には、もう裂け目があります。
引っ張ってむくと、裂け目が深くなる
ささくれを指でつまんで引くと、まだつながっている根元の皮膚まで一緒にはがれることがあります。
アメリカ皮膚科学会(AAD)の家庭向けの案内にも、ささくれを噛んだり引きちぎったりすると感染を起こすことがある、とあります。
AADが勧める手順は2つだけ。
- 石けんと水で手をよく洗う
- 爪切りか爪用のはさみで、浮いた皮膚だけを切る
ささくれは、引っ張らずに、浮いた部分だけを切ります。根元の皮膚まで切りこまないでください。
甘皮は、爪の根元にすき間を作らないためのふた
甘皮は、爪の根元にかぶさっている薄い皮膚です。皮膚科Q&Aでは、爪上皮(そうじょうひ)と呼んでいます。
皮膚科Q&Aによると、爪の根元を囲む皮膚と爪の表面のあいだにすき間ができると、そこにカビの一種のカンジダや細菌が入りこみます。入りこんだあとに起きるのが、爪の根元が赤く腫れる病気です。
甘皮は、このすき間をふさいでいる皮膚です。MSDマニュアルは、甘皮がなくなると、爪を囲む皮膚が爪からはがれ、刺激物や細菌が入りやすくなると説明しています。
AADも、甘皮は爪の根元を守っているので、切ったり押し上げたりしないよう勧めています。日本ネイリスト協会も、甘皮の処理をやりすぎると爪や皮膚に傷をつけることがある、と注意しています。
甘皮を切れば、爪の根元の見た目はすっきりします。そのかわり、根元にすき間ができやすくなります。
爪を噛む・深爪も、指先の皮膚を傷める
爪を噛む癖も、爪のまわりの皮膚を傷めます。MSDマニュアルは、爪のまわりが化膿する病気が、指を噛んだりしゃぶったりする人によくみられると書いています。
深爪にも注意が要ります。皮膚科Q&Aによると、爪を短く切っていると、指先の皮膚ががさがさになったり、ひび割れたりします。爪には、指先の皮膚を守る役目があるからです。
爪の白い部分は、すべて切り落とさず、少し残します。Q&Aはそのうえで、指の爪は指先より短くならないように、指先の形に合わせて丸く切るよう勧めています。
爪を噛む子どもには、苦味のあるトップコートを毎日、親が爪に塗ってあげる方法も、Q&Aで紹介されています。
爪の割れ・二枚爪も、冬と水仕事で増える
爪の先が薄く層になってはがれる状態を、二枚爪と呼びます。皮膚科Q&Aでは、原因を爪の水分が減ることと、爪先にかかる力としています。
二枚爪が起きやすいのは、夏より空気の乾く冬です。除光液を使いすぎると、爪の中の保湿成分が減ってはがれやすくなります。水仕事の多い人にも起きやすいとされています。
同じQ&Aが挙げる予防は、水仕事のときの手袋と、爪の表面に保湿剤を1日に数回塗ることです。透明なトップコートを塗る方法も挙がっています。
ジェルネイルにも注意点があります。女性の指の爪の厚みは0.5ミリ前後で、伸びるのは1日0.1ミリほどです。付け直すたびに削っていると、自分の爪がだんだん薄くなります。
爪が縦に割れるのは、二枚爪とは別の状態です。同じQ&Aによると、縦の割れの原因には、甘皮の異常のほかに、爪の根元のできものもあります。
ささくれと爪囲炎は、赤み・腫れ・痛み・膿で見分ける
ささくれの裂け目から細菌が入ると、爪囲炎になることも。皮膚科Q&Aでは、爪の根元が赤く腫れて痛みが強いものを、細菌による急性の爪囲炎(ひょうそ)としています。
MSDマニュアルによると、急性の爪囲炎は数時間から数日のうちに痛みが出て、熱をもち、赤く腫れます。膿がたまりやすいのは、爪のふちの皮膚の下です。爪の下にたまることもあります。
水仕事の多い人には、ゆっくり進む爪囲炎もあります。皮膚科Q&Aは、爪の根元が赤く腫れて、爪の表面がでこぼこになるものを、カンジダによる慢性の爪囲炎としています。
| 指のようす | 考えられる状態 |
|---|---|
| 皮膚がめくれているだけで、腫れも痛みもない | ささくれ |
| めくれた根元がしみる、少し血がにじむ | ささくれの根元が裂けている |
| 爪のまわりが赤く腫れて、ずきずき痛む、熱をもつ | 急性の爪囲炎(ひょうそ)かもしれない |
| 爪のふちや爪の下に、膿がたまって見える | 急性の爪囲炎(ひょうそ)かもしれない |
| 爪の根元が赤く腫れ、爪の表面がでこぼこしてきた | 慢性の爪囲炎かもしれない |
表の上の2行までなら、ささくれです。3行目より下に当てはまるなら、皮膚科へ行ってください。
赤くなっていても、痛くなければ様子を見てもよいですか
爪の根元が赤く腫れて、爪の表面がでこぼこしてきたら、痛みが弱くても皮膚科へ行ってください。慢性の爪囲炎は、爪のでこぼこが目印です。
皮膚科へ行く目安
皮膚科Q&Aによると、細菌による爪囲炎には飲み薬の抗生物質を使います。膿がたまっていれば、針を刺したり切ったりして膿を出します。
次のどれかに当てはまるなら、市販の薬を探す前に皮膚科へ行ってください。
- 爪のまわりが赤く腫れて、ずきずき痛む、熱をもつ
- 爪のふちや爪の下に膿が見える
- 爪の根元の赤い腫れがひかず、爪の表面がでこぼこしてきた
- 爪が縦に割れたまま、何度も同じ場所から割れる
糖尿病のある方は、とくに早めに受診してください。MSDマニュアルは、爪囲炎がまれに深いところまで広がること、糖尿病の人では指を失うおそれもあることを挙げています。
ネイルオイルとハンドクリームは、箱の区分で書ける言葉が違う
爪のまわりに塗るものの売り場には、化粧品、医薬部外品、医薬品が並んでいます。医薬部外品とは、国が認めた成分が決まった量だけ入っているもので、箱に「薬用」とあります。
箱に書ける言葉は、区分ごとに決まっています。化粧品の言葉は、厚生労働省の通知にある56項目です。
| 区分 | 箱に書ける言葉の例 | 向く指 |
|---|---|---|
| 化粧品(ネイルオイル) | 「爪を保護する」「爪をすこやかに保つ」「爪にうるおいを与える」 | ささくれのない爪と、爪のまわり |
| 化粧品(ハンドクリーム) | 「肌荒れを防ぐ」「皮膚にうるおいを与える」 | ささくれのない指 |
| 医薬部外品(薬用ハンドクリーム) | 「ひび・あかぎれを防ぐ」など | ささくれのない指 |
| 医薬品(液体ばんそうこう) | 「さかむけ、すりきず、ひび、あかぎれ、小きりきず」 | ささくれの裂け目がしみる指 |
いまめくれているささくれに塗るものを探すなら、効能・効果の欄に「さかむけ」とある医薬品の棚を見てください。
化粧品のネイルオイルに書けるのは「爪を保護する」「爪にうるおいを与える」などまでです。ささくれの傷を手当てする言葉は、化粧品の56項目に入っていません。
ささくれの状態べつに使うもの
使うものは、ささくれの状態で3つに分かれます。見分けの表の3行目より下に当てはまる指は、皮膚科へ行ってください。
皮膚が浮いているだけなら、浮いた部分をささくれニッパー ササキュア(ステンレス・日本製)のようなささくれ用のニッパーで切ります。メーカーはヒカリで、刃先は5〜6ミリ、長さは10センチの日本製です(2026年10月時点、商品ページの表示)。弱点は、ふつうの爪切りより値段が高いことです。商品ページには甘皮にも使えると書かれていますが、甘皮は切らずに残してください。
根元がしみるなら、サカムケアa 10g【第3類医薬品】のような液体ばんそうこうです。小林製薬の「サカムケアa」は第3類医薬品です。第3類医薬品というのは、ドラッグストアの棚で買える市販薬の区分のこと。
添付文書によると、サカムケアaは塗ると膜を作り、傷をおおいます。傷に塗ったときは一瞬しみますが、乾くとしみなくなるとされています。化膿しているところ、湿疹や出血のあるところ、大きな傷や深い傷には使えません。血がにじんでいるあいだは、使わずに止まるのを待ちます。
ささくれのない爪のまわりには、ネイルオイル(化粧品)のような化粧品のネイルオイルを使います。商品ページの区分は化粧品で、容量は14ミリリットルのボトルと4ミリリットルのペンの2種類です。使い方は、爪の根元や裏側に塗って、なじませる形です(2026年10月時点)。香料が入っているので、香りが苦手な方には向きません。
ネイルオイルは、ささくれの傷を手当てするものではありません。化粧品に書ける言葉は「爪を保護する」「爪にうるおいを与える」です。暖房を入れはじめる時期に1本用意しておくと、冬のあいだ爪の保湿に使えます。
よくある質問
Q. ささくれは、栄養が足りないとできるのですか?
皮膚科Q&Aで、爪のトラブルと栄養の関係として挙がっているのは、鉄が足りないときの二枚爪と反り返った爪です。ささくれについては、栄養との関係を書いていません。日本ネイリスト協会の調査でも、ささくれなど手指の悩みの原因に多く挙がったのは、乾燥と水仕事でした。
Q. ささくれに、尿素のクリームを塗ってもよいですか?
ささくれの根元がしみるうちは、塗らないでください。尿素のクリームの添付文書には、ひび割れのある部位には使わないよう書かれています。くわしくは手荒れ・あかぎれの記事をご覧ください。
Q. 液体ばんそうこうは、何日使えばよいですか?
サカムケアaの添付文書には、5〜6日間使っても症状がよくならない場合は使うのをやめ、医師・薬剤師・登録販売者に相談するよう書かれています。
Q. 子どもの指のささくれにも使えますか?
サカムケアaの添付文書には、小児に使わせる場合は、保護者の指導監督のもとで使わせるよう書かれています。指をしゃぶるなどして飲みこむおそれがあるときは、使わないよう書かれています。
Q. 爪の根元が赤いのに、痛くありません。様子を見てよいですか?
爪の表面がでこぼこしてきたなら、慢性の爪囲炎かもしれません。Q&Aでは、カンジダによる慢性の爪囲炎の治療に6か月ほどかかるとしています。早めに皮膚科へ行ってください。
まとめ
- ささくれは、乾燥と水仕事で、爪のまわりの皮膚が裂けてめくれたもの
- 引っ張ってむくと裂け目が深くなる。手を洗ってから、浮いた部分だけを切る
- 甘皮は爪の根元のすき間をふさいでいる。切らない、押し上げない
- 赤く腫れて、ずきずき痛む・熱をもつ、膿がたまる、爪の根元が腫れて爪の表面がでこぼこする。どれかに当てはまるなら、爪囲炎を疑って皮膚科へ
- いまのささくれには効能・効果に「さかむけ」とある医薬品、ささくれのない爪にはネイルオイル
手の乾燥の手当ては、乾燥肌の化粧品の選び方とかかと・ひじのクリームの選び方にまとめてあります。
この記事で挙げたものを、もう一度並べます。
商品は楽天で探して、★4.3以上のものを、レビューの多い順に並べています。 ★の数も価格も、売り切れかどうかも日ごとに書き替わります。押した先の商品ページで、いまの表示を確かめてください。
この話に出てきた化粧品を、まとめて見る
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読み終わると、かかとの角層(肌のいちばん外側にある、はがれ落ちる手前の細胞の層)が顔よりずっと厚いことが分かります。顔用の乳液では届かないわけと、選ぶ尿素の濃さも分かります。
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