何年も使っている化粧水なのに、秋のある朝、頬に付けたとたんにぴりっとしみること、ありませんか?
そのたびに「もう肌に合わなくなったのかな」と思い、敏感肌用の化粧水を探しはじめる人も多いはずです。
でも、いつもの化粧水が急にしみるなら、化粧水より先に、肌を疑ってください。同じ化粧水を同じように使っていても、肌が荒れているとしみることがあります。
しみたときにどうするかは、手元の化粧水の容器にも書いてあります。容器の裏にある、小さな字の注意書きです。
そこには「刺激などが出たら使うのをやめて、皮膚科に相談してください」という意味のことが書かれています。
この記事はこんな方に向けて書いています
- いつもの化粧水が、秋になって急にしみるようになった
- 敏感肌用に買い替えるか、皮膚科に行くかで迷っている
- 化粧水をやめたら、もっと乾きそうで不安
なぜ、いつもの化粧水が急にしみるのか
肌のいちばん外側にあるのは、角層(はがれ落ちる手前の細胞が重なった層)です。
角層は外からの刺激を防ぎ、肌の中の水が外へ逃げるのも防いでいます。
角層が荒れて薄くなったり、ところどころ欠けたりすると、それまで防げていた刺激が中まで届くようになります。これまで何ともなかった化粧水に肌が反応するのは、このためです。
角層のすき間を埋めているセラミド(水をつかんで離さない脂)の話は、秋の乾燥の記事にくわしく書きました。
秋にしみやすくなる2つの理由
秋に角層が荒れやすい理由は、大きく分けて2つあります。
1つめは、夏のあいだの手入れがそのまま続いていることです。たとえば、汗をタオルでふくこと、1日に何度も顔を洗うこと、拭き取り化粧水をコットンでこすることです。こするたびに、角層は少しずつ削れます。夏に増えたこする習慣は、秋になってもなかなか減りません。
2つめは、空気です。天気予報の湿度は、その気温の空気がふくめる水のうち、何割が入っているかを表す数字です。気温が下がると、空気がふくめる水の量そのものが減ります。そのため、湿度の数字が夏と同じでも、秋の空気の中の水は夏より少なく、肌から水が逃げやすくなります。
9月から10月は、こすって削れた角層が、乾いた空気にさらされる時期です。
しみている間に買い替えた化粧水も、しみることがあります
しみると、まず「敏感肌用」「低刺激」と書かれた化粧水を買いたくなりますよね。
ところが、角層が薄いままだと、低刺激の化粧水でも刺激が中まで届くことがあります。
新しい化粧水もしみると、「これも合わなかった」と思って、また別のものを探します。本当は合う化粧水だったとしても、荒れた肌の上では合うかどうかを見分けられません。
しかも、買い替えるたびに顔に塗るものの種類が増えます。どれがしみたのかも分からなくなります。
敏感肌用と書いてあれば、しみないんじゃないですか
「敏感肌用」には、国が決めた基準がありません。表示するかどうかは各社の判断です。荒れた肌の上では、敏感肌用でもしみることがあります。
しみたら何をするかは、容器の裏に書いてあります
化粧品の箱や容器の裏には、使い方の注意書きが入っています。業界団体(日本化粧品工業会)の決まりにそった文面なので、どのメーカーの化粧水でも中身はよく似ています。
次の文は、ある化粧水の容器にある注意書きです。
お肌に異常が生じていないかよく注意して使用してください。赤味・はれ・かゆみ・刺激、色抜け(白斑等)や黒ずみ等の異常があらわれた場合は使用を中止し、皮ふ科専門医等へご相談ください。そのまま使用を続けますと、症状を悪化させることがあります。
「しみる」は、この文の「刺激」にあたります。化粧水がしみたら使うのをやめるよう、作った会社自身が求めています。
商品によっては「傷やはれもの、しっしん等、異常のある部位にはお使いにならないでください」という1文も入っています。
しみた化粧水は、まず止める。敏感肌用や薬用を探すのは、その後です。
塗ったときだけしみるのか、何も塗っていなくても痛むのかで、次にすることを分けます
止めたあとに何をするかは、肌のようすで決めます。
見るのは、何も塗っていないときの肌です。洗顔のあと、化粧水を付ける前の数分に、頬を鏡で見てください。手で触らずに、ひりひりした痛みやかゆみがあるか、小さなぶつぶつが出ていないかを確かめます。
| いまの肌 | 次にすること |
|---|---|
| 化粧水を塗ったときだけしみる。何も塗っていないときは痛くない | しみた化粧水を止めて、洗顔料と、乳液かクリームを1つだけにする |
| 何も塗っていないときも、ひりひりした痛み・かゆみ・小さなぶつぶつがある | 待たずに皮膚科へ |
| 残す乳液やクリームを探したが、どれを塗ってもしみる | 皮膚科へ |
| 洗顔料と乳液かクリームだけにして2週間たっても、しみる | 皮膚科へ |
2週間というのは、医学で決まった日数ではありません。ひとつの目安です。
何も塗っていないのに出る痛みやかゆみ、ぶつぶつは、化粧水を替えてもおさまりません。皮膚科では、パッチテストで、どの成分に反応しているかを調べられることもあります。
顔に使うものは、洗顔料と乳液かクリームだけにする
塗ったときだけしみる人は、顔に使うものを減らします。残すのは、洗顔料と、乳液かクリームを1つです。外に出る日は、これに日焼け止めを足してかまいません。日焼け止めもしみるなら、帽子や日傘で日ざしをよけてください。
塗るものが5つあると、どれがしみたのか分かりません。減らしておけば、あとで1本ずつ戻すときに、どれが刺激だったかを確かめられます。
いったん休むものは、次のとおりです。どれも、荒れた肌には刺激になりやすいものです。
- 拭き取り化粧水。コットンで表面をこするので、角層が削れやすくなります
- 古い角質(はがれ落ちずに残った肌の表面)を落とすもの。スクラブや酸で落とす化粧品です
- 美白の化粧品と、ビタミンC誘導体(肌の上でビタミンCに変わる成分)の入ったもの
- レチノールの入ったもの
- 果汁や香料、エタノールが多く入ったもの。エタノールは、塗ったあとにすっとする成分です
顔を洗うお湯は、32〜34度に下げます。手を入れて「少しぬるいかな」と感じるくらいです。熱いお湯は、角層のすき間を埋めている脂まで流します。
タオルは顔に押し当てて、水を吸わせるだけにしてください。
残す乳液かクリームの選び方
乳液かクリームは、新しく買う必要はありません。手持ちの中から、塗ってもしみないものを1つ選びます。
化粧水をやめると、もっと乾きそうで心配になりますよね。
乳液かクリームを1つ残していれば、乾きは防げます。化粧水はほとんどが水で、塗ったあとに蒸発していきます。肌の水が逃げるのを防いでいるのは、乳液やクリームに入っている油です。それに、しみる化粧水を塗り続けるより、荒れた肌への刺激も少なくてすみます。
塗るときは、手のひらに広げて頬に押し当ててください。指ですべらせると、こする回数が増えます。
手持ちの乳液やクリームの、どれを塗ってもしみるなら、皮膚科へ行ってください。
化粧水の戻し方
洗顔料と乳液かクリームだけにして、しみない日が続いたら、化粧水を戻します。
戻すのは1本ずつです。2本を同時に戻すと、またしみたときに、どちらだったのか分かりません。
最初にしみた、いつもの化粧水を戻すときも、新しい化粧水を試すときも、いきなり顔には塗りません。腕の内側に少し塗って、2日ほどようすを見ます。赤くなったり、かゆくなったりしなければ、顔に使いはじめます。
顔に付けてまたしみたら、その化粧水はそこでやめてください。止めた化粧水の名前はメモしておいてください。皮膚科で相談するとき、何でしみたかを伝えられます。
選び直す化粧水は、容器の表の言葉と裏の成分で見ます
新しい化粧水を選ぶときは、容器の表と裏を両方見ます。
| 見る場所 | 見る言葉 | 何が分かるか |
|---|---|---|
| 表 | 肌荒れを防ぐ | 化粧品。肌が荒れるのを防ぐための品 |
| 表 | 薬用、または医薬部外品(国が認めた成分が、決まった量だけ入っているもの) | 「肌あれ・あれ性を防ぐ」とあれば、肌あれを防ぐ成分が決まった量入っている品 |
| 裏の全成分 | エタノール | 前のほうにあるものは避ける |
| 裏の全成分 | 香料 | 書いてあるものは避ける |
容器に「肌荒れを防ぐ」とある化粧品は、肌が荒れるのを防ぐための品です。「肌あれ・あれ性を防ぐ」とある薬用も同じです。薬用でも、美白用やニキビ用のように目的が別のものには、この言葉が書いていないことがあります。
しみなくなってから選ぶなら、化粧品と薬用のどちらでもかまいません。どちらも肌が荒れるのを防ぐためのもので、すでに荒れている肌を、もとに戻すものではありません。
化粧品の全成分は、配合量の多い順に並んでいます(1%以下のものは順不同)。エタノールが2番目や3番目にあれば、量が多いということです。薬用には、この並び順の決まりがありません。薬用では、エタノールの名前があるかどうかだけを見てください。
薬用の化粧水によく入っている成分は、グリチルリチン酸2K(甘草からとった成分)とアラントインです。どちらも肌あれを防ぐ成分として使われています。ただし、同じ成分が入っていても、区分が化粧品なら、容器に書けるのは「肌荒れを防ぐ」までで、「肌あれ・あれ性を防ぐ」とは書かれていません。
しみなくなってから選ぶ化粧水
ここからは、洗顔料と乳液かクリームだけにして、しみない日が続いたあとに、化粧水を戻すときの1本です。いまもしみている人は、まだ買わなくて大丈夫です。
1本目は、こすらずに付けられるミスト化粧水(無香料・アルコール不使用・120mL)です。顔から15センチほど離して、スプレーで吹きかけて使います。手でこすらずに付けられます。全成分に香料とエタノールは入っていません。弱点は、目と口を閉じて吹きかける手間があることです。
2本目は、セラミドが3種類入った保湿化粧水(化粧品・150mL)です。全成分にセラミドが3種類入っていて、エタノールは入っていません。末尾にあるフェノキシエタノールは防腐剤で、エタノールとは別の成分です。区分は化粧品で、150mLで4,000円を超えるので値段は高めです。
どちらを選んでも、腕の内側から試してください。2本まとめて買う必要はありません。
どちらか1本なら、どっちですか
付けるときに頬をこすってしまう人は、スプレーの1本目です。セラミドの入った化粧水を探している人は、2本目です。
皮膚科へ行くのは、どんなときか
使うものを減らすだけでは足りないときもあります。皮膚科へ行くのは、次のどれかに当てはまるときです。
- 何も塗っていないときも、ひりひりした痛み・かゆみ・小さなぶつぶつがあるとき。使うものを減らすのを待たずに行ってください
- 残す乳液やクリームを探したが、どれを塗ってもしみるとき
- 洗顔料と乳液かクリームだけにして2週間たっても、しみるとき
診察には、使っていた化粧品と、しみた化粧水の名前を書いたメモを持っていってください。容器ごと持っていってもかまいません。
よくある質問
Q. 化粧水をやめたら、肌がもっと乾きませんか?
乳液かクリームを1つ残していれば、乾きは防げます。化粧水の水は蒸発していきますが、乳液やクリームの油が、肌の水が逃げるのを防ぎます。しみる化粧水を塗り続けると、角層は荒れたままです。
Q. しみるのをがまんして使い続けると、慣れますか?
慣れるとは限りません。容器の裏に「そのまま使用を続けますと、症状を悪化させることがあります」と書かれているとおりです。しみたら止めてください。
Q. パッティングしたほうが、なじみませんか?
パッティングでたたくのも、こするのと同じで、肌に何度もふれることになります。手のひらに広げて、頬を押さえるように付けてください。
Q. ファンデーションや化粧下地は、塗ってもかまいませんか?
塗るものが増えるほど、どれがしみたのか分からなくなります。塗らずにすむ日は、塗らないでください。塗った日は、落とすときにこすらないようにします。
Q. 薬用の化粧水なら、いましみている肌に使ってもかまいませんか?
「肌あれ・あれ性を防ぐ」とある薬用の化粧水は、肌が荒れるのを防ぐためのものです。いましみている人は、先に使うものを減らします。薬用を足すのは、洗顔料と乳液かクリームだけにして、しみない日が続いてからにしてください。
まとめ
- いつもの化粧水が急にしみるなら、先に疑うのは化粧水より肌のほう。角層が荒れて薄くなると、同じ化粧水でもしみる
- しみている間に買い替えた化粧水もしみることがあり、合うかどうかを見分けられない
- 容器の裏の注意書きどおり、しみた化粧水はまず止める
- 塗ったときだけしみるなら、洗顔料と、乳液かクリームを1つだけにする(外に出る日は日焼け止めも)
- 何も塗っていないときも、ひりひりした痛み・かゆみ・小さなぶつぶつがあるなら、待たずに皮膚科
- 残す乳液やクリームのどれを塗ってもしみるとき、洗顔料と乳液かクリームだけにして2週間たってもしみるときも、皮膚科
- しみない日が続いたら、化粧水を1本ずつ、腕の内側で2日ほど試してから戻す。薬用を足すのも、このあと
肌あれの理由と、化粧品・薬用・塗り薬の箱に書いてある言葉の違いは肌あれのページ、水をつかむセラミドの話は乾燥のページにまとめてあります。
今夜は、しみた化粧水の容器を裏返して、注意書きを読んでみてください。
この記事で挙げたものを、もう一度並べます。
商品は楽天で探して、★4.3以上のものを、レビューの多い順に並べています。 ★の数も価格も、売り切れかどうかも日ごとに書き替わります。押した先の商品ページで、いまの表示を確かめてください。
この話に出てきた化粧品を、まとめて見る
- 肌あれに使うもの、選び方
読み終わると、いつもの化粧水が急にしみるときは、先に肌の側を疑えばよいと分かります。荒れている間にやめる化粧品も決まります。 - 乾燥に使うもの、選び方
読み終わると、足りないのが水なのか、水をつかむ脂(セラミド)なのかが分かります。化粧水のほかに何を買い足すかも決まります。
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