秋の乾燥は、9月の“乾きはじめ”から始まっています。化粧水を足す前に見る3つ
2026/8/21
まだ半袖なのに、朝の洗顔のあと、頬がつっぱる。夏のあいだは何もしなくても平気だったのに、9月に入ったとたん、ファンデーションが均一に伸びなくなること、ありませんか?
わたしは毎年これを「冷房のせい」で片づけて、10月に慌てています(笑)
実はこれ、化粧水が合わなくなったのかなと思っていたんです。何本か買い替えました。でもつっぱりは同じ(笑)
原因は化粧品ではありません。肌の壁にできた、すき間のほうだったんです!
タイトルの「見る3つ」は、そのすき間をめぐる3つ。何が減るのか・なぜ減るのか・どう埋めるのか、の順で見ていきます。
この記事はこんな方に向けて書いています
- 9月に入ると、急に肌がつっぱる
- 化粧水を変えても手ごたえがない
- 乾燥なのに、なぜかテカる日がある
何が減るのか(1) 肌の壁は、ラップ1枚ぶんの厚さです
まず「肌の壁」と呼んでいるものの正体から。いちばん外側にある「角層」と呼ばれる層のことです。厚さは0.02ミリ。台所のラップとほぼ同じです。
この0.02ミリが、体の水分が逃げるのを止めています。同時に、外から菌が入るのも止めています。
そんなに薄いもので足りるのか、と思うのですが、作りに理由があります。
何が減るのか(2) 壁はレンガ、すき間を埋めるのがモルタル
角層の断面は、レンガを積んだ壁に似ています。
レンガにあたるのが、角層の細胞です。平たい細胞が何十層も重なっています。
すき間を埋めるモルタルにあたるのが、セラミドという油の一種です。細胞と細胞のあいだを埋めて、壁をすき間なくつないでいます。もともと体の中で作られていて、外から塗って足すこともできます。
モルタルにあたるセラミドが減るとどうなるか。レンガにあたる細胞は積まれたままですが、あいだにすき間ができます。そこから水が抜けていきます。
つっぱりの正体は、このすき間から水が逃げている状態です。減っているのはセラミドのほうで、水ではありません。
表面がざらつくと、そこに乗せたファンデーションも均一に伸びません。化粧が決まらない日があるのは、この段階なんですね。
化粧水を塗れば、すき間は埋まりませんか
化粧水は水なので、すき間からいっしょに逃げます。埋めるには油の側が要ります。
何が減るのか(3) セラミドは、水をつかんで離しません
すき間を埋めているモルタル、セラミドのほうは、ただの油ではありません。油なのに水を抱えこむという珍しい性質を持っています。
抱えられた水は、マイナス40度まで冷やしても凍らない、と花王(洗剤や化粧品を作っている会社で、肌の研究所を持っています)が報告しています。ふつうの水なら0度で凍ります。凍らないほど強く、セラミドと結びついているわけです。
だからセラミドが減ると、肌の水はつかむ相手を失って蒸発しやすくなります。足りないのは水じゃなくて、水をつかむ側だったんです!

じゃあ、水を足しても意味がないんですか
つかむ側が減ったままだと、足した水も同じように逃げます。そこが化粧水だけで終わらせたときの落とし穴です。
なぜ減るのか 理由は3つあります
ここまでが「何が減るのか」の話です。ここからは、なぜセラミド(すき間を埋めるモルタル)が減るのかに移ります。
1つめ、洗いすぎ。 セラミドは油なので、洗顔料で洗うと少しずつ流れます。体の中で作り直されますが、1日に何度も洗うと、作られる速さが追いつきません。
2つめ、お湯の温度。 セラミドは体温くらいで溶けはじめる油です。36度を超えるお湯だと、水をつかんでいたセラミドまで溶けて流れます。 目安は32〜34度。手を入れて「少しぬるいかな」と感じるくらいで、熱いと感じたらもう高すぎます。
さきほど「マイナス40度でも凍らない」と書いたのは、セラミドがつかんでいる水の話です。ここで溶けるのはセラミドそのもの。つかんでいる手が溶けて流れれば、つかまれていた水も一緒に出ていきます。
3つめ、こすること。 0.02ミリの壁なので、タオルでこすると物理的に削れます。コットンで拭き取るタイプの化粧水も、同じように表面をこすります。
秋に増えるのは3つめです。夏に汗をふいたりメイクを落としたりでこする回数が増えた習慣が、そのまま残っているのに、空気は乾きはじめているからです。
なぜ減るのか(続き) “乾燥するのにテカる”も、同じ輪の中にあります
矛盾しているようで、上の3つとつながっています。
肌の表面には、毛穴から出る油の膜があります。この油を皮脂と呼びます。
角層の水分が減った状態が続くと、皮脂の量が増えることが知られています。油そのものが水になるわけではありません。表面を油で覆えば、下にある水が逃げにくくなる。 その働きで水分の減りを食い止めようとする反応だと考えられています。
テカりは、もともと油の多い肌質のしるしとは限りません。中が乾いているから出ていることがあります。
ここで「脂っぽいから」と洗う回数を増やすと、上の1つめに戻ります。洗う → セラミドが減る → もっと乾く → もっと皮脂が出る、という輪になります。
テカる日ほど、洗う回数は増やさないほうが早く落ち着きます
どう埋めるのか(1) 成分は3つに分かれます
減る理由が分かったので、埋める側を見ます。売り場の言葉で3つに分かれます。
先に区分の話をしておきます。市販薬には第1類・第2類・第3類という区分があり、数字が大きいほど副作用の心配が小さくなります。第2類はドラッグストアのカウンター側、第3類は棚に並んでいることが多い、という違いも出ます。
| 成分 | どういうものか | どこで買うか |
|---|---|---|
| セラミド | すき間を埋めていたモルタルそのものを足す | 化粧品 |
| ヘパリン類似物質 | 体の中にあるヘパリンという成分に似せて作ったもの。ヘパリンには水を抱えこむ性質があり、肌に使うのはこの性質のほうです | 第2類医薬品/化粧品 |
| 尿素 | 硬くなった角層の細胞の結びつきをゆるめて、やわらかくする | 第3類医薬品 |
顔の乾燥なら、上の2つです。
尿素を外すのは、狙う場所が別だからです。尿素は角層をやわらかくする成分で、かかとやひじのように厚く硬くなった場所に向いています。顔の皮膚は体より薄いので、同じ濃度だとしみるように感じることがあります。使えないわけではありませんが、顔用として売られているものを選んでください。
いま乾いてつっぱっているなら、ヘパリン類似物質のほうが近道です。医薬品として承認されているものは、厚生労働省から「肌がかさついて粉をふく状態(乾皮症)」に対する効能で承認を受けています。こちらは薬局のカウンター側にあり、1本1,000〜2,000円あたりです。
同じ成分を配合した化粧品もあります。ヘパリン類似物質を配合した化粧水・乳液のオールインワン(★4.69・500件・1,870円)のように、1本で済むタイプです。ただし化粧品は医薬品ではないので、パッケージに「乾皮症に」とは書けません。 書けるのはうるおいを与えるところまでです。症状として困っているなら医薬品の棚、毎日の手入れとしてなら化粧品の棚、という分かれ方になります。
これから冬に向けて備えるなら、セラミド入りの化粧品を毎日使います。減った分を毎日少しずつ足していく形なので、つっぱりが出てから薬を探しに走らずに済みます。セラミド配合の化粧水(★4.8・3,394件・5,280円)のように評価の高いものもありますが、毎日使うものなので、大容量タイプ(★4.49・2,943件・2,030円)のように量で選ぶ手もあります。成分名より、続けられる価格かどうかのほうが結果に出ます!
同じ「保湿」でも、薬の棚と化粧品の棚に分かれるんですね
はい。どちらが上という話ではなく、いま乾いているかどうかで選びます。
どう埋めるのか(2) 化粧水だけで終わらせると、塗る前より乾きます
塗る順番にも理由があります。
化粧水は、ほとんどが水です。塗った直後は肌が濡れているので、しっとりします。
ところがそのまま放っておくと、その水は蒸発します。しかも、表面の水が蒸発しきったあとも、肌は乾いた空気に接したままです。蒸発は、乾いた空気にふれているかぎり続くので、今度は角層の中に残っていた水が引き出されます。 塗る前より乾く、というのはこの現象です。
だからフタが要ります。乳液かクリームを上から重ねて、空気にふれる面を油で覆います。
タイミングは洗顔後すぐ。数分以内が目安です。洗ったあとの肌は、皮脂の膜が落ちていて、いちばん水が逃げやすい状態だからです。
どう埋めるのか(3) 部屋の湿度も、逃がさない側の話です
塗るのは「足す」側の手当てです。もうひとつ、逃がさない側からも手が打てます。部屋の湿度です。
肌から水が逃げる速さは、まわりの空気がどれだけ乾いているかで変わります。湿度が40%を下回ると、逃げる速さが上がります。
では高いほどよいかというと、70%を超えると結露とカビが出てきます。
家で狙うのは、その内側の50〜60%です。下を50%にするのは、家庭用の湿度計が±5%ほどずれるから。表示40%の部屋が、実は35%だったということになります。
上を60%で止めるのは、部屋の中でも場所によって湿度に差が出るから。気温が下がると空気が抱えられる限界も下がるので、冷えた窓ぎわは真ん中より湿度が高くなります。 真ん中で70%なら、窓ぎわは100%に届いて結露します。
乾きはじめるのは9月から。 天気予報の「湿度◯%」は9月も75%前後で下がりませんが、あれは「その気温で抱えられる限界に対する割合」です。気温が落ちれば限界そのものが小さくなるので、割合が同じでも中の水は減ります。 東京の平年値で見ると、空気1立方メートルにふくまれる水は8月の約19グラムから、9月に約16グラム、10月に約11グラムへ落ちます。
加湿器の選び方は、秋の乾燥の記事にまとめました。
どう埋めるのか(4) 食べもので足せるのは、材料のほうです
セラミドは、こんにゃく・米・小麦・大豆にも含まれています。植物が持っているセラミドです。
ただし、食べたセラミドがそのまま肌のすき間へ運ばれるわけではありません。口から入ったものは消化されて細かく分解されるので、届くのは材料としてです。 そこから体が作り直します。だから塗るのと違って、時間がかかります。
こんにゃく由来のものは、機能性表示食品として「肌の水分を逃しにくくする」という届出がされています。機能性表示食品というのは、事業者が自分の責任で根拠を届け出れば、体への働きを書ける食品の区分のこと。国が個別に審査して承認する制度ではない、という点は知っておいてください。
即効性のある話ではありません。塗る側を主にして、食べるほうは土台、という順番になります。
よくある質問
Q. セラミド入りと書いてあれば、どれでも同じですか?
配合されている量が書かれていないことが多いので、そこは比べられません。ただし化粧品には、入っているものを全部書いた一覧(全成分表示)を、容器か箱に載せる決まりがあります。並び順は配合量の多い順です(1%以下のものは順不同)。その一覧の前のほうにセラミドの名前があるかどうかが、ひとつの手がかりです。
「セラミドNP」「セラミドAP」のように種類の記号まで書いてあるものは、どのセラミドを使っているかを開示しているという意味です。NPやAPは構造の違いを表す記号で、どれが上ということはありません。
Q. ヘパリン類似物質は、顔に使えますか?
顔に使える製品と、体用の製品があります。パッケージの「効能・効果」の欄に書いてあるので、そこを確かめてから使ってください。判断に迷うときは、薬剤師さんに聞くのが確実です。
Q. 洗顔は1日何回までですか?
朝と夜の2回が目安です。汗をかいた日は水またはぬるま湯だけで流して、洗顔料は増やさないほうが落ち着きます。
Q. 化粧水は高いほうがいいですか?
値段より、そのあとフタをしているかどうかで差が出ます。1本30mLを朝晩0.5mLずつ使うと30日で終わるので、続けられる価格かどうかで選ぶほうが現実的です。
Q. つっぱるのに、皮がむけてきました
壁が削れているサインなので、洗う回数と温度をまず下げてください。1週間たっても皮むけが引かないときは、角質ケア(古い角質を酸や粒で落とす手入れのこと)へ自己判断で進まず、皮膚科で相談するのが安全です。削るほうへ進むと、薄くなった壁がさらに薄くなります。
Q. 赤みやかゆみが出ています。これも乾燥ですか?
つっぱりや粉ふきまでが、この記事で扱った「壁のすき間」の話です。赤みやかゆみは、そこに炎症が加わった状態です。埋める手当てだけでは足りず、炎症を抑える側の手当てが要ります。肌あれのページに分けてまとめました。
まとめ
- 何が減るのか:肌の外側は0.02ミリ。レンガの壁で、すき間を埋めるのがセラミド
- セラミドが減るとすき間から水が逃げる。足りないのは水ではなく、水をつかむ側
- なぜ減るのか:洗いすぎ・お湯の温度・こすること。秋に増えるのは3つめ
- テカるのに乾く日も、同じ輪の中。洗う回数を増やさない
- どう埋めるのか:いま乾いているならヘパリン類似物質、備えるならセラミドの化粧品
- 化粧水のあとにフタをする。洗顔後すぐ、数分以内
- 部屋は50〜60%。天気予報の湿度が下がらなくても、空気の中の水は9月から減る
- 食べもので届くのは材料まで。塗る側を主にして、こんにゃく・米・小麦・大豆は土台に
今夜は、洗顔のお湯を32〜34度まで下げるところから始めてみてください!
肌悩みべつのアイテムは乾燥向けのアイテムに、赤みやかゆみが出ているときは肌あれのページにまとめています。どちらも広告を含むページです。
この話に出てきた道具を、まとめて見る
- 乾燥に使うもの、選び方
塗る量より、逃がさない順番のほうが効きます。 - 肌あれに使うもの、選び方
季節の変わり目と体調で出るもの。まず刺激を減らします。
どちらも広告を含むページです。
このページはアフィリエイト広告を含んでいます。 広告について