ふるさと納税の返礼品(寄付のお礼に届く品)で「寒ブリ」を探すと、12月の一覧にずらりと並びます。名前はどれも冬のブリなので、どれを選んでも脂ののった魚が届きそうに見えます。
ところが「寒ブリ」という呼び名には、全国で共通の決まりがありません。
脂がのる大きさに育つ前の魚でも、冬に獲れていれば「寒ブリ」と書けます。
脂の量を知る手がかりは、名前ではなく、返礼品ページにある3つの表示です。
この記事はこんな方に向けて書いています
- 「寒ブリ」と書かれた返礼品が多すぎて、どれを選べばよいか決めきれない
- 天然と養殖で、脂の量がどれだけ違うのかを知りたい
- 前に届いたブリが、思っていたより脂が少なかった
「寒ブリ」の名前に、全国共通の決まりはありません
「寒ブリ」と名乗れる条件は、国ではなく、ブリを水揚げする産地がそれぞれ決めています。
富山県の氷見には、「ひみ寒ぶり」と名乗れる期間を決める判定委員会があります。その期間に富山湾の定置網で獲れ、氷見魚市場で競りにかけられたブリのうち、7キロ以上などの基準を満たしたものが「ひみ寒ぶり」です。判定では重さのほかに、形や色つやも見ます。
期間の始まりを知らせるのが「ひみ寒ぶり宣言」です。宣言の日付は毎年違い、脂ののったブリがまとまって揚がる見通しが立った日に出ます。
氷見は2024年に、重さの基準を6キロ以上から7キロ以上へ引き上げました。
ほかの産地にも似た呼び名がありますが、何キロから名乗れるかは産地ごとにばらばらです。返礼品には、何キロ以上という決まりを持たない「寒ブリ」も並んでいます。
ブリは出世魚で、育つにつれて別の名前で呼ばれます。その呼び名も、関東と関西でそろっていません。
| 大きさ | 関東の呼び名 | 関西の呼び名 |
|---|---|---|
| 35センチくらいまで | ワカシ | ツバス |
| 35〜60センチ | イナダ | ハマチ |
| 60〜80センチ | ワラサ | メジロ |
| 80センチから | ブリ | ブリ |
ただ、返礼品ページの名前はこの表どおりとはかぎりません。80センチに届かない魚の名前にも「ぶり」が付きます。
ハマチと書いてあるページは、別の魚ですか
同じ魚です。関西では、35〜60センチくらいの若いブリをハマチと呼びます。養殖したものは、大きく育ってからもハマチと書かれることがあります
ブリは、大きく育ってから脂をためこみます
産地が重さを条件にするのは、ブリが身にためる脂の量が育ち方によって違うからです。
ブリは春から夏にかけて、餌を追って日本海を北へ上ります。秋になると、冷たくなった海を避けて南へ下ります。冬の日本海で南へ下る群れを獲ったものが、寒ブリと呼ばれてきました。
南へ下る群れは、産卵場へ向かっています。水産庁の資料では、産卵の中心は東シナ海の中南部で、時期は1月ごろから4月ごろまでです。
産卵を控えたブリは、冬のあいだに餌をたくさん食べて脂をためこみます。
産卵するのは、何年か育って大きくなったブリだけです。まだ小さいブリは産卵しないので、冬の海で獲れても、産卵に備えて脂をためこむことはありません。
魚の重さが、この違いを外から見分ける目安です。
返礼品ページで脂の量の手がかりになるのは、3つの表示です
名前で分からない脂の量は、ページのほかの表示で見分けます。
手がかりになる3つの表示と、それぞれから分かることを並べます。
| ページの表示 | 脂の量について分かること |
|---|---|
| 産地のブランド名と、「◯キロ以上」などの基準 | 産地が基準で選んだ魚が届く |
| 1本まるごとの重さ(半身なら元の魚の重さ)。「天然」と書いたページと、天然とも養殖とも書いていないページで見る | 大きさの目安になる。大きいほど脂をためた魚に当たりやすい(7キロは氷見の基準) |
| 名称・原材料名の欄の「養殖」 | 人が与える餌で脂がのっているので、重さを見なくてよい |
3つの表示のどれも無いページでは、脂の量は分かりません。
天然のブリは、重さで大きさを見分けます
天然のブリでは、魚1本の重さが脂の量の手がかりになります。
ページの名前に「ひみ寒ぶり」のような産地のブランド名があり、何キロ以上かも書いてあれば、産地が重さを確かめて選んだ魚です。買う側が重さを確かめ直す必要はありません。
ブランド名だけで、何キロ以上かが書かれていないページもあります。その場合は、1本の重さの表示を探してください。
1本まるごとなら、内容量の数字がそのまま魚の重さです。重いほど、大きく育って脂をためた魚に当たりやすくなります。
半身(1本を背骨で2枚に分けた片側)の場合、内容量を見ても元の魚の重さは分かりません。頭を落としただけのものも、骨まで抜いたものもあるからです。元の魚が何キロだったかが別に書いてあれば、その数字を大きさの目安にします。
6キロの1本は、申し込んでも大丈夫ですか
大丈夫です。7キロは、氷見が「ひみ寒ぶり」と名乗るための基準で、全国の基準ではありません
「養殖」と書いてあれば、重さは見なくてかまいません
いけすで育つブリは、人が与える餌の量と種類で脂がのります。そのため、重さから脂の量を見分ける必要はありません。
養殖のブリは脂が少ないと思うかもしれません。成分表で比べると、差はわずかです。
文部科学省の日本食品標準成分表(八訂)増補2023年では、「ぶり 成魚 生」の脂質が食べる部分100グラムあたり17.6グラムです。養殖と書き分けた「ぶり はまち 養殖 皮つき 生」は17.2グラムでした。
差は0.4グラムで、100グラムの刺身なら、サラダ油の小さじ1杯の10分の1ほどです。
ただし、成分表の数字は平均です。天然のブリは、獲れた月と大きさで脂の量がばらつきます。養殖のブリは人が餌を決めるので、ばらつきが小さいとされます。
切り身やサクで選ぶなら、「養殖」の表示があるページのほうが、天然と書いたページより脂の少ない魚に当たりにくくなります。
1本まるごとの返礼品にも、養殖のブリが並びます。年末に届く養殖ぶり「鰤王」の1本まるごと(約3.5kg〜)は、鹿児島県長島町で養殖された「鰤王」の1本で、約3.5キロからです。届く日は、年末の12月26日から30日の中から選べます。
1本をおろす手間を省きたいなら、半身もあります。年末年始に届く「鰤王」の半身(冷蔵)は、同じ鰤王を半身で届けるページです。冷蔵で届き、年末年始の発送を選べます。
「天然」とだけ書かれた切り身は、脂の量が分かりません
天然と書かれていても、切り身・サク・スライスでは元の魚の重さが分かりません。
3キロの魚から取った切り身も、8キロの魚から取った切り身も、1切れ100グラムなら表示は同じです。「天然」の2文字からは、魚が何キロだったかまでは読み取れません。
元の魚の重さが書いていない半身や、天然とも養殖とも書いてなく重さも分からないページも、脂の量は分かりません。
こうしたページで申し込むなら、次のどちらを優先するかを先に決めておいてください。
- 脂の量を外したくない …… 「養殖」と書いてある切り身・サクを探し直す
- その産地の天然ブリを食べてみたい …… 脂の量は運任せと決めて申し込む
同じ1本でも、背と腹で脂の量が違います
どのページで選んでも、同じ1本のなかでは腹の身のほうが背の身より脂が多めです。
腹の身は脂が多く、口に入れるとやわらかくほどけます。背の身は脂が控えめで、身が締まっています。
- 刺身で脂を味わいたい …… 腹の身
- 刺身で歯ごたえを残したい …… 背の身
- しゃぶしゃぶ …… 腹の身。色が変わったらすぐ引き上げると、脂が汁へ落ちる前に食べられます
- 照り焼き・ぶり大根 …… 背の身か、あら(頭や骨のまわりに残る身)
部位を書いていないページなら、背と腹の混ざった身が届くと考えておきましょう。
冷蔵で届く黒瀬ぶりのロイン(宮崎県串間市)は、宮崎県串間市で養殖された「黒瀬ぶり」のロイン(骨と皮を外して、背と腹に切り分けた身のかたまり)です。背と腹のかたまりを、刺身用と火を通す料理用に分けて使えます。
ページの月は、ブリを発送する月です
返礼品ページに出ている月は発送の月で、ブリが海から揚がった月とは別です。
冷凍の切り身やスライスは、凍らせたまま一年じゅう並びます。12月に申し込んで12月に届いても、獲れたのが冬とはかぎりません。
獲れた月まで知りたいなら、漁の時期が書いてあるページか、その冬の漁を待って送るページを選びます。
寒ブリは定置網で獲ります。岸の近くに網を張り、回ってきた群れが入るのを待つ漁です。いつ何本入るかは群れしだいなので、天然の1本ものには「順次発送」(獲れて用意できた順に送る出し方)のページが多くなります。
順次発送では着く日を選べません。そのため天然の1本ものでは、年末の着日指定と、その冬の獲れたてを両立しにくくなります。
- 年末に届いてほしい …… 着く日を選べるページ
- その冬に獲れた魚がほしい …… 漁を待って送るページ。着く日は選べないことが多い
年内に受け取りたいなら、配送の欄で年内着の締切を見てください。締切の日付はページごとに違い、12月上旬で締め切るページもあります。
届く形によって、その日の台所仕事の量が変わります
ブリは大きな魚です。1本で届くか切り身で届くかで、届いた日の台所仕事の量に大きな差が出ます。
| 届く形 | 届いた日にやること |
|---|---|
| 1本まるごと | 頭と内臓を落として、三枚におろす |
| 半身 | 刺身にする身と、火を通す身に切り分ける |
| ロイン・サク | 刺身に切る |
| 切り身 | そのまま焼くか、冷凍庫へ入れる |
手間がいちばんかかるのは1本まるごとです。3キロ台の1本でも、家庭のまな板には頭から尾までおさまりません。
1本をおろすなら、背骨を断ち切れる出刃包丁が要ります。家にないなら、半身・ロイン・切り身のどれかを選んでください。
凍ったサクは、冷蔵庫に移して半日おきます。芯が少し凍っているうちに切ると、身が崩れにくくなります。
よくある質問
Q. 養殖のブリに「寒ブリ」と書いてあることはありますか?
あります。「寒ブリ」には全国共通の決まりがないので、誤りとも言えません。脂の量で選ぶなら、名前ではなく、この記事で挙げた3つの表示を見てください。
Q. 天然とも養殖とも書いていないページは、どう見分ければよいですか?
1本まるごとの重さか、半身なら元の魚の重さが書いてあれば、大きさの目安にします。重いほど、脂をためた魚に当たりやすくなります。重さが書いていなければ、脂の量は分かりません。
Q. 1本もののブリは、家の冷蔵庫に入りますか?
そのままでは入りません。届いた日に三枚におろし、小分けにしてから冷蔵庫と冷凍庫へ入れてください。
Q. ぶり大根には、どの部位を使いますか?
背の身か、あらです。腹の身は脂が多いので、煮汁が重くなります。
まとめ
- 「寒ブリ」に全国共通の決まりはない。氷見では、決められた期間に富山湾の定置網で獲れ、7キロ以上などの基準を満たしたブリが「ひみ寒ぶり」
- 大きく育ったブリは、産卵に備えて脂をためこむ。だから産地は重さを条件にする
- 脂の量の手がかりになるのは3つの表示。産地のブランド名と「◯キロ以上」などの基準、1本まるごとの重さ(半身なら元の魚の重さ)、原材料名の「養殖」
- 1本の重さは大きさの目安。大きいほど脂をためた魚に当たりやすい。7キロは氷見の基準で、全国の基準ではない
- 成分表の脂質は、ぶり(成魚)とはまち(養殖)で0.4グラムしか違わない。養殖は、脂の量のばらつきも小さいとされる
- 3つの表示のどれも無いページでは、脂の量は分からない
- ページの月は発送の月。天然の1本ものは、年末の着日指定とその冬の獲れたてを両立しにくい
申し込む前に、3つの表示のどれかがページにあるかを見てください。
12月のほかの魚介は、12月の魚介カレンダーにカニや牡蠣と並べてあります。
この記事で挙げたものを、もう一度並べます。
商品は楽天で探して、★4.3以上のものを、レビューの多い順に並べています。 ★の数も価格も、売り切れかどうかも日ごとに書き替わります。押した先の商品ページで、いまの表示を確かめてください。
この話に出てきた返礼品を、まとめて見る
- 12月の魚介・海鮮
カニもいくらも、食べたい月になってから探すと売り切れていることがあります。申し込みの受付は、食べたい月の数か月前に始まります。申し込みの目安は、ウニが5月ごろ、いくらが8月ごろ、ズワイガニが10月ごろです。
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