9月に入ったとたん、あごと口のまわりに小さなふくらみが並び、治りかけてはまた同じところに赤いものができる。そんなことはありませんか?
顔の脂のせいだと考えて、洗顔料を買い替えたり、洗う回数を増やしたりする人も多いはずです。
でも、大人の肌で毛穴をふさいでいるのは、増えた皮脂ではありません。はがれ落ちなかった角質です。
角質というのは、はがれ落ちる手前の、肌のいちばん外側にある平たい細胞のことです。角質は、肌が乾いているほど落ちきらずに残ります。
この記事はこんな方に向けて書いています
- 9月に入ってから、あごと口のまわりに小さなふくらみが並ぶ
- 脂を落とす洗顔料に替えても、同じところにくり返しできる
- 落とすのを強くするのか、うるおいを足すのかで迷っている

大人の毛穴をふさぐのは、増えた皮脂ではなく、落ちきらなかった角質です
大人になると、顔から出る脂は10代より少なくなります。それでも毛穴が詰まるのは、出口をふさいでいるのが角質だからです。
角質が残るのは、肌が乾燥するからです。
角層(肌のいちばん外側の、平たい細胞が重なった層)の水分が減ると、細胞どうしの結びつきがほどけにくくなります。結びつきがほどけないかぎり、いちばん外側の細胞は、はがれ落ちる時期が来ても肌から離れません。
残った角質がいちばん厚く重なるのは、毛穴の出口のまわりです。
ニキビは、ふさがる・たまる・菌が増える・腫れるの4段階で進みます
図の4段階を、順に見ます。
① 毛穴の出口が、落ちきらなかった角質でふさがります。 ② 出られなくなった皮脂は、毛穴にたまります。 ③ 詰まった毛穴の中は空気が少ないので、アクネ菌(もともと肌にいる菌)が増えます。 ④ 増えた菌のまわりで皮膚が赤く腫れたものが、目に見えるニキビです。
①と②の毛穴は、赤くなりません。鏡を近づけても、ふさがっているかどうかは分かりません。目で気づけるのは、菌が増えて赤く腫れる④からです。
そのため、①②の段階で使うものと、③④の段階でやることは別々です。①②のうちに毛穴を詰まらせずにおけば、ニキビは③④まで進みません。
詰まり・開き・黒ずみの見分け方は、毛穴の記事にまとめました。
9月にニキビが増えるのは、皮脂の減る時期と、角質の残る時期が重なるからです
9月に増えるのは、4段階のうち①が進みやすくなるためです。
1つめは、皮脂が減ることです。気温が下がると、顔から出る脂は夏より少なくなります。脂が減ればニキビも減りそうですが、出口をふさぐのは角質なので、詰まりは減りません。
2つめは、角質が残ることです。天気予報の湿度が同じ数字でも、気温が下がると、空気がふくめる水の量の上限は小さくなります。つまり湿度の割合が同じでも、気温が低ければ、空気中の水は少ないのです。
肌が乾いた空気にふれると、角層から水が逃げる速さが上がります。角層の水が減れば、はがれ落ちる時期の来た細胞も残ったままです。
そこへ、夏の洗い方がそのまま続きます。1日に何度も顔を洗い、汗をタオルでふく洗い方です。9月は、皮脂が減りはじめた肌に、夏の落とし方を続けてしまう月です。
思春期のニキビと大人のニキビでは、出る場所も、先に手をつける先も別です
同じ「ニキビ」でも、思春期と大人では、毛穴を詰まらせているものが入れ替わります。
| 見るところ | 思春期のニキビ | 大人のニキビ |
|---|---|---|
| 出やすい場所 | 額と鼻すじ | あご・口のまわり・フェイスライン |
| 毛穴をふさぐもの | あふれた皮脂 | 落ちきらなかった角質 |
| 数が増えるころ | 気温の上がる夏 | 空気の乾く秋冬 |
| 先に手をつける先 | 脂を落とすこと | 角質を残さないこと |
表の右側の「角質を残さない」は、スクラブやタオルでこすってはがすことではありません。いちばん外の層に水を残して、細胞どうしの結びつきが自然にほどける状態にしておくことです。
洗う回数を足すと、ふさがる毛穴はかえって増えます
ついやりがちな手入れが3つあります。どれも①の詰まりを進めてしまいます。
1つめは、洗う回数を増やすことです。洗って落とすほど角層は乾き、乾いた角層では細胞どうしの結びつきがほどけません。ほどけない角質は毛穴の出口に重なるので、洗うほど詰まりやすくなります。
2つめは、こすることです。角層は薄いので、スクラブやタオルでこすると削れます。削れたところは赤みが長引き、色が茶色く残ることもあります。
3つめは、指でつぶすことです。押す力は、毛穴のまわりの皮膚にもかかります。押されて傷ついたところは、へこみや茶色い色として残ります。
赤く腫れたニキビを、指でつぶさないでください。
脂っぽい日ほど、洗いたくなります
洗ったあと、化粧水を付ける前に肌がつっぱるなら、脂を落としすぎています。洗いすぎかどうかは、洗った回数ではなく、そのつっぱりで決めてください。
洗うのは朝と夜の2回、お湯は32〜34度、泡は転がすだけ
何かを買う前に、洗う回数とお湯の温度を戻してください。洗い方を直さないまま何を足しても、角層は乾いたままだからです。
洗顔は、朝と夜の2回まで。汗をかいた日は、水かぬるま湯で流すだけにします。
お湯は32〜34度が目安です。手を入れて「少しぬるいかな」と感じるくらい。熱いと感じたら高すぎます。
細胞のすき間を埋めている脂は、お湯の温度が体温に近づくほど流れやすくなります。32〜34度を目安にするのは、体温と同じ36度のお湯だと、水をつかむ脂まで落ちてしまうからです。32〜34度なら、この脂は肌に残ります。
泡は肌の上を転がすだけにしてください。そうすれば、指の腹が肌にふれる回数が減ります。
洗い方を戻すのは今夜からでき、お金もかかりません。どれを買うか迷っているあいだにも始められます。
買う棚は、ニキビが出る前と、出たあとで分かれます
ここからは売り場の話です。市販品は、薬用と書いてあるものと、薬局で買える一般用医薬品に分かれます。薬用とは医薬部外品のことで、国が認めた成分が決まった量だけ入っている区分です。
箱に書ける言葉も、区分ごとに決まっています。薬用の洗顔料や化粧液なら「ニキビを防ぐ」、薬局の塗り薬なら「吹き出物、ニキビ」です。
「防ぐ」は、まだニキビの出ていない毛穴に向けた言葉です。いま赤く腫れているニキビに使う効能は、その箱に書かれていません。
| いまの肌 | 向かう棚 | 箱に書いてある言葉 |
|---|---|---|
| 赤く腫れたものが無い | 薬用 | ニキビを防ぐ |
| 赤く腫れたものがある | 一般用医薬品 | 吹き出物、ニキビ |
| 赤い腫れが2週間引かない | 皮膚科 | 箱ではなく、医師の診察 |
赤く腫れたものがあるのに洗顔料を買い足しても、腫れに使える塗り薬が手元にないまま日が過ぎます。どの棚で選ぶかは、鏡で赤い腫れがあるかどうかを見て決めてください。
名前で選ぶなら、出る前の3つと、出たあとの1つを見分けます
成分表示に並ぶ名前は、区分と段階で分かれます。
| 成分の名前 | 区分 | 向けている段階 |
|---|---|---|
| イソプロピルメチルフェノール | 医薬部外品 | ①②。出ていない毛穴のために使います |
| グリチルリチン酸2K | 医薬部外品 | ①②。同じく出る前に使います |
| サリチル酸 | 医薬部外品 | ①。ふさいでいる古い角質を取ります |
| イブプロフェンピコノール | 一般用医薬品 | ④。赤く腫れたニキビに向けた成分 |
上の2つは同じ①②に向けた成分です。どちらか一方が入っていれば足ります。
③は鏡では見つけられないので、③だけに向けた1本は選べません。菌が増えた③も赤く腫れた④も、塗り薬の棚から選びます。
買う1本目は、薬用アクネケア 洗顔クリーム(医薬部外品)のように、箱に「ニキビを防ぐ」と書いてある薬用の洗顔料です。弱点は、洗い流すものなので、成分が肌にふれるのは顔を洗っているあいだだけという点です。
顔に赤く腫れたものがあるなら、この1本は向きません。
成分の名前と区分の対応は、ニキビのページに一覧でまとめました。
新しく買うものは、1つずつ試してください。同時に2つ替えると、どちらが合わなかったのか分かりません。
毛穴の出口をふさがせないために、うるおいを足します
はがれ落ちる時期の来た細胞が残るのは、角層の水が減るからです。①の詰まりを止めるには、落とすだけでは足りません。洗顔料のあとに、水を残すための1本を足してください。
細胞と細胞のすき間を埋めているのが、セラミド(水をつかんで離さない脂)です。ただし、塗ったセラミドが減ったぶんの代わりになる、とは箱に書けません。化粧品の箱に書けるのは「肌にうるおいを与える」までです。
そこで2本目は、薬用アクネケア 化粧液(医薬部外品)のような薬用の化粧液から選びます。箱に薬用とあれば医薬部外品なので、「ニキビを防ぐ」と書くことができます。弱点は、この1本では手入れが終わらないことです。上からふたをする乳液を、別に買い足すことになります。
成分の名前を見る前に、朝晩続けられる値段かどうかを確かめてください。肌が入れ替わるまでに数週間かかるので、そのあいだは同じ1本を使い続けることになります。
化粧液だけで終えると、塗った水は蒸発します。乳液かクリームを重ねて、空気にふれる面を油でふさいでください。塗るのは洗顔のあと、数分以内です。
油でふさぐのが心配な方は、箱の「ノンコメドジェニック」の表示を手がかりにしてください。ノンコメドジェニックとは、毛穴が詰まりにくいかを試した、という意味の表示です。
乾燥そのものの手当ては、乾燥のページに分けてあります。
前髪とマスクが当たる場所は、赤みが長引きます
塗るものを替えても、同じところにくり返し出るときは、前髪・マスクの縁・枕カバー・タオルを確かめてください。
前髪が当たるおでこは、1日じゅう毛先でこすられています。前髪は分けて、触れないようにしてください。
マスクの縁は、毎日おなじ線に当たります。位置を少しずらせば、当たる線が1本に集まりません。
枕カバーとタオルも、顔の同じ面にふれます。あごと頬に並ぶなら、当たる面を替えてください。
こすれているところでは、赤みが引くまでの日数が延びます。塗るものを足すより先に、当たっているものを外してみてください。
答えが出るまでの日数と、皮膚科へ行く線
肌の細胞は奥で生まれ、押し上げられて、最後は表面から離れます。この1周にかかる日数は、20代で4週間ほどです。年齢が上がると日数は延びるので、30代・40代はもっとかかります。
①に向けた1本は、赤い腫れが無いあいだは2週間で見限らないでください。ここで言っているのは、まだ出ていないところに向けた1本のことです。2週間では、塗りはじめてから生まれた細胞がまだ表面に出ていません。
いっぽうで、待たずに皮膚科へ行く目安もあります。赤く腫れているものが2週間引かない、数が増える、押すと痛む。このどれかにあたるなら、皮膚科へ行ってください。
飲み薬と跡に向けた手当ては、医師のいる医療機関でしか受けられません。市販の1本を買い替えているあいだも、赤い腫れは引きません。
よくある質問
Q. 薬用と書いてある洗顔料に替えれば、いまできている赤いニキビもおさまりますか?
箱に書いてあるのは「ニキビを防ぐ」までで、いま赤く腫れているものに使う効能はありません。赤い腫れがあるなら、薬局の塗り薬の棚から選んでください。
Q. 9月は脂が減ると書いてありましたが、夕方は顔が脂っぽくなります。なぜですか?
顔から出る脂の量そのものは、夏より少なくなります。それでも、夕方に顔が光る日はあるでしょう。表面が油で覆われると、その下の水は逃げにくくなります。肌の中が乾いていても表面は光るので、脂性肌のしるしとは限りません。
Q. 同じところにばかりできます。何を見ればよいでしょうか?
その場所だけ、①の詰まりが続いていると考えられます。まずは、そこにふれているものを確かめてください。前髪、マスクの縁、枕カバー、タオルです。外してもくり返すなら、皮膚科へ行ってください。
Q. 食べもので減らせますか?
食べもので減らせるかどうかは、確かな数字が見つかりませんでした。先に洗い方を見直し、うるおいを足してください。
Q. 皮がむけているのですが、古い角質をはがす手入れを重ねてもよいですか?
皮むけは、角層が削れているしるしです。そこへはがす手入れを重ねると、層はさらに薄くなります。まず洗う回数とお湯の温度を下げて、1週間おいてください。
まとめ
- 大人の毛穴をふさぐのは、増えた皮脂ではなく、落ちきらなかった角質
- 9月は、皮脂の減るころと、空気が乾いて角質の残るころが重なる
- 買う前に洗い方を戻す。洗うのは朝と夜の2回、お湯は32〜34度
- 赤い腫れが無いなら「ニキビを防ぐ」と書いてある1本、腫れがあるなら塗り薬の棚、2週間引かないなら皮膚科
段階ごとの成分と棚はニキビのページ、うるおいを足す手当ては乾燥のページにまとめてあります。
今夜は、洗顔のお湯を32〜34度まで下げるところから始めてみてください。
この記事で挙げたものを、もう一度並べます。
商品は楽天で探して、★4.3以上のものを、レビューの多い順に並べています。 ★の数も価格も、売り切れかどうかも日ごとに書き替わります。押した先の商品ページで、いまの表示を確かめてください。
この話に出てきた化粧品を、まとめて見る
- ニキビに使うもの、選び方
読み終わると、いまのニキビが4つの段階のどこにいるかが分かります。箱に「ニキビを防ぐ」と書いてある1本を使う時期と、皮膚科へ行く時期を、自分で決められます。 - 乾燥に使うもの、選び方
読み終わると、足りないのが水なのか、水をつかむ脂(セラミド)なのかが分かります。化粧水のほかに何を買い足すかも決まります。
リンク先は、どちらも広告を含むページです。