9月に入ると、朝の日ざしがやわらぎます。腕がヒリヒリすることもありません。そろそろ日焼け止めをやめようかな、と思うこと、ありませんか?
ただ、紫外線は2種類あり、弱まったと感じられるのは片方だけです。肌の表面で止まって赤みをつくるUVBが、その片方にあたります。
もう片方のUVAは雲も窓も通り抜けて、肌の奥まで届きます。UVAは当たっても熱くもヒリヒリもしないので、体では気づけません。
そのため、やめる日を勘で決めると、UVAを防ぎ損ねます。いつまで塗るかは、箱に並んだSPFとPAの表示を見て決めます。
この記事はこんな方に向けて書いています
- 9月に入って、いつまで塗るのか迷っている
- 日ざしの弱い日も塗る必要があるのか分からない
- SPFとPAの、どちらを見て選ぶのか決められない
箱にSPFとPAが並んでいるのは、防ぐ相手が2種類あるからです
日焼け止めの箱には、SPF50・PA++++のように表示が並んでいます。2つ並んでいるのは、それぞれが防ぐ紫外線の種類が違うからです。
SPFは、肌の表面で止まるUVBをどれだけ防げるかをあらわす数字。何も塗らないときとくらべて、赤くなるまでの時間を何倍に延ばせるかの目安です。
PAは、奥まで届くUVAをどれだけ防げるかをあらわす+の数です。+は1つから4つまでで、いちばん多い表示が++++になります。
2種類の紫外線は、肌に届く深さで分かれます。
UVBが止まるのは表皮です。表皮の細胞が傷むと、そこが炎症を起こして赤くなります。浴びたその日に出る赤みは、この炎症です。
肌はそれ以上傷まないように、メラニン(肌を守るためにつくられる色のもと)を増やします。増えたメラニンが抜けずに残ったものがシミです。
UVAは、表皮の下の真皮まで届きます。そして真皮で肌のハリを支えているコラーゲンを傷めます。

コラーゲンの傷みは、数日では表に出ません。何年もかけて、シワとたるみの形で出てきます。
UVBを浴びるとその日の赤みと色が、UVAを浴びると何年もあとにシワとたるみが残ります。
SPFの数字が大きいものを選べば、両方ふせげますか
SPFはUVBを防ぐ力の数字です。奥まで届くUVAは、PAの+の数を見てください。
「日ざしが弱くなった」と感じさせるのは、UVBです
9月に入ると、日ざしが弱まったと感じます。そう感じさせているのは、2種類のうちのUVBです。
体で分かるのは、肌がヒリヒリする、夕方に顔がほてるといったところまでです。
いっぽうUVAに当たっても、その日のうちは何も感じません。傷んだコラーゲンが表に出るのは、何年もあとだからです。
「今日はもう平気そう」と思うとき、判断の材料になっているのはUVBだけです。UVAには、当たったことを知らせる合図がありません。赤みもヒリつきも、UVBによるものだからです。
やめる日は、体の感じ方では決められません。箱のSPFとPAの表示を見てください。
UVAは、曇りの日も窓を通ってきます
UVAに気づけない理由は、当たり方にもあります。
曇りの日でも、晴れの日の6割ほどのUVAが地上に届いています。空が白いので日ざしは弱く見えますが、雲を通るUVAの量はそこまで減りません。
UVAは窓ガラスも通り抜けます。ガラスはUVBを吸い取りますが、波の長いUVAはそのまま通します。屋内にいても、窓ぎわの席なら顔にUVAが当たります。
9月の予定を思い出してみてください。曇りの日、窓ぎわのデスク、電車の窓ぎわの座席。どれもUVBはほとんど届かず、当たっているのはUVAです。
曇りの日は塗らなくても大丈夫ですか
曇りでも、UVAは晴れの日の6割ほどが肌に届きます。空の白さは、当たる量の目安になりません。
つまずくのは、1本ですませる・曇り・薄塗りの3つ
曇りの日も窓ぎわでも塗るつもりでいても、外しやすい点が3つあります。1本ですませる、曇りに塗らない、薄くのばすの3つです。
① 1本ですませようとする
SPF50・PA++++が1本あれば、数字の上ではどの場面でも足ります。ただし、箱の表示どおりに防げるのは、決められた量(顔なら指先ふたつぶん)を塗ったときだけです。
数字の大きい1本は、塗ったあとの肌が重く感じられます。そのため朝に出す量が自然と減り、SPF50の1本でも表示どおりには防げなくなります。
通勤と買いものだけの日は、SPF20〜30の1本に持ち替えてください。塗り心地が軽くなるぶん、量を減らさずに塗れます。
② 曇りに塗らない
曇りの朝に「今日はやめておこう」と塗らなかった日にも、UVAは肌に届いています。赤くならないので、その日は何も起きていないように見えるだけです。UVAによる傷みは、何年もあとにシワとたるみになって表に出ます。
③ 薄くのばす
白く残るのが気になって、1回ぶんより少ない量を顔に出し、薄く広げる人がいます。白浮きは減りますが、防げる量も箱の表示を下回るのが難点です。
白さが気になるなら、量は減らさずに、塗るものを替えてください。紫外線吸収剤は、紫外線を熱に変えて放す成分です。吸収剤の入ったものを選ぶと、塗った肌が白くなりにくくなります。箱に「ノンケミカル」と書いていないものが、吸収剤の入ったものです。
白浮きが気になる日ほど、出す量を減らしたくなります。量は減らさずに、顔に置いてください
やめる日を決めるより、その日の場面で数字を下げます
では、いつまで塗るのか。日にちではなく、その日をどこで過ごすかで選びます。
| その日の過ごし方 | SPF | PA |
|---|---|---|
| 屋内で過ごす(通勤と買いもの、窓ぎわのデスク) | 20〜30 | ++ |
| 外を歩く(散歩・送り迎え・観光) | 30〜50 | +++ |
| 海や炎天下 | 50 | ++++ |
秋に入って減るのは、いちばん下の「海や炎天下」で過ごす日です。上の2行の過ごし方は、9月にも10月にも残ります。
秋は、その日の予定に合わせてSPFとPAの数字を下げていきます。
屋内で過ごす日は一年じゅうあるので、塗るのをやめる日は来ません。
屋内で過ごす日なら、SPF20〜30・PA++で足ります。この範囲は、化粧下地でもよく見かける数字です。SPF30前後・PA++以上と表示された下地なら、朝に塗るものは下地1本で済みます。SPF30・PA+++の日焼け止め下地が、その1本です。
すでに出ているシミは、日焼け止めではうすくなりません
ここまで数字を下げる話をしてきました。ここからは、日焼け止めにできないことを書きます。箱に書いてある「日やけによるシミ・そばかすを防ぐ」は、これからつくられるシミとそばかすの話です。すでに出ているシミをうすくしたくて日焼け止めを選んでも、数か月使って手ごたえは出ません。
化粧品にも医薬部外品(国の承認を受けた成分が、決められた量だけ入っているもの)にも、すでに出ているシミがうすくなると箱に書けるものはありません。すでに出ているシミが気になるなら、皮膚科で相談してください。シミの話はシミ・そばかすのページにまとめました。
防ぎきれずに届くぶんが、どの1本にも残ります
シミを防ぐ日焼け止めにも、限界があります。どの箱にも「完全に防ぐ」とは書いてありません。防ぎきれずに肌へ届く紫外線が残るので、塗る量と塗り直しでおぎないます。
選ぶのは、SPFの数字とPAの+の数が両方とも書かれているものです。まれに片方しか書いていない箱があります。その箱では、もう片方の紫外線をどれだけ防げるかが分かりません。
数字を上げる前に、塗る量と塗り直しを見ます
UVAもUVBも、防げる量は塗る量で決まります。同じ1本でも、塗る量が足りないと、箱のSPFとPAの表示ほどは日やけを防げません。
顔なら1回に指先ふたつぶんです。人さし指の先から第一関節まで出した量が、指先ひとつぶん。それを2回出します。
薄くのばして1回ぶんを節約すると、節約したぶんだけ、防げる量が箱の表示を下回ります。
塗り直すのは2〜3時間おきです。汗と皮脂、それに手やマスクでこすれて、塗ったものが少しずつ減っていくからです。
SPF50を朝に1回だけ塗って夕方まで塗り直さないより、SPF30を2〜3時間おきに重ねるほうが、箱に書いてあるSPF30ぶんを1日を通して保てます。
塗り忘れやすいのは、目のまわり・耳・首の後ろ・唇です
量と間隔をそろえても、そもそも手が届いていない場所が残ります。塗り忘れやすいのは、次の4か所です。
目のまわり
顔に広げるとき、手は頬と額を中心に動きます。目のきわで手が止まるので、まぶたの上と目尻に塗り残しが出ます。
目に入るとしみるので、まつ毛のきわは避けて、まぶたの上に置いてください。
耳
鏡の正面からは見えない場所です。塗り残しやすいのは、耳の上のふちと耳のうしろです。髪を耳にかける方は、耳の表も日ざしに出ます。
首の後ろ
髪をまとめた日だけ日ざしに出る場所です。鏡の正面に立っても見えないので、塗ったかどうかを目で確かめられません。
唇
唇には、口に入るので顔用のものは塗りません。SPFの表示があるリップクリームを重ねてください。
顔を塗り終えたら、最後にこの4か所を足します。耳と首の後ろは手でさわって、まぶたの上と目尻は鏡で確かめてください。唇にはリップクリームを重ねます。
ヒリつくなら、吸収剤から散乱剤へ替えます
塗り残しがなくても、塗るとしみて続けられないことがあります。そのときは、紫外線を止める成分の種類を見てください。成分は、紫外線を熱に変えて放すものと、はね返すものの2つに分かれます。
熱に変えて放すのが紫外線吸収剤です。塗った肌は白くなりにくくなります。ただし、ヒリつきを感じる人がいます。
はね返すのが紫外線散乱剤です。塗った肌は白くなりやすいものの、吸収剤でヒリついた人はこちらに替えられます。箱には「ノンケミカル」と書かれています。
| 吸収剤 | 散乱剤 | |
|---|---|---|
| 止め方 | 熱に変えて放す | はね返す |
| 塗った肌 | 白くなりにくい | 白くなりやすい |
| 箱での見分け | 「ノンケミカル」の表示がない | 「ノンケミカル」「紫外線吸収剤フリー」 |
| 成分表示 | 酸化チタン・酸化亜鉛のほかにカタカナの名前が並ぶ | 止めるのは酸化チタンと酸化亜鉛だけ |
| 向く人 | 白浮きを避けたい方 | 吸収剤でヒリついた方 |
塗ってしみる、かゆくなるときは、そこで止めてください。箱に「ノンケミカル」と書いてある散乱剤のものに替えると、ヒリつかずに使えることがあります。白浮きが気になっていても、しみる人は散乱剤を優先してください。
顔用として売られている散乱剤の1本が紫外線吸収剤不使用の顔用日焼け止めです。
箱の表示はSPF28・PA+++。SPFの28は、表のいちばん上の行(SPF20〜30・PA++)に収まります。PAの+が1つ多いぶん、窓ぎわの席で何時間か過ごす日でも、防げる量が表の上の行より落ちません。
ただし表の2行目、外を歩く日はSPF30〜50です。散歩や送り迎えのある日は、この1本では足りません。
散乱剤に替えてもしみるなら、原因は塗ったものではなく肌の側にあります。皮膚科で診てもらってください。
よくある質問
Q. 10月に入ったら、塗るのをやめて大丈夫ですか?
10月も塗ります。外を歩く日はSPF30〜50・PA+++のままで、屋内だけの日が増えるぶん、SPF20〜30・PA++を使う日が増えます。
UVAは窓を通り抜けるので、窓ぎわの席で過ごす日も塗ってください。
Q. SPF50を1本持っておけば、どの場面でも足りますか?
数字の上では足ります。実際に足りるかどうかは、その1本を決められた量だけ塗って、2〜3時間おきに重ねられるかで決まります。
Q. 「日やけによるシミ・そばかすを防ぐ」と書いてあれば、すでにあるシミもうすくなりますか?
箱に書いてあるのは、これから日やけでつくられるぶんを防ぐところまでです。すでに出ているシミがうすくなると箱に書ける化粧品・医薬部外品はありません。
すでに出ているシミが気になるなら、皮膚科で相談してください。シミの話はシミ・そばかすのページにまとめました。
Q. 家の中で過ごす日も塗りますか?
窓ぎわで過ごす時間があるなら塗ります。窓を通り抜けたUVAが、屋内でも顔に当たるからです。窓から離れた場所で過ごす日は、そこまで気にしなくて構いません。
Q. 冬になっても塗るものですか?
窓ぎわで過ごす日と外を歩く日が残るかぎり、塗る日は冬も続きます。UVAは雲も窓も通り抜けるので、季節では止まりません。冬も、外れるのは表のいちばん下の行、海や炎天下だけです。
Q. 曇りの日に塗り忘れました。どうすればよいですか?
赤みは出にくい日です。ただ、雲を通り抜けたUVAは、晴れの日の6割ほど肌に届いています。1日ぶんで慌てる必要はありませんが、次の日からまた塗ってください。
まとめ
- 箱の表示は2つ。SPFはUVB、PAはUVAに向いている
- UVBは表皮まで、UVAは真皮まで。残るのは赤みと色、シワとたるみ
- 9月に弱まったと感じるのはUVB。UVAには当たった合図がない
- UVAは曇りでも晴れの6割が届き、窓も通り抜ける
- つまずくのは塗り方。1本ですませる・曇りに塗らない・薄くのばすの3つ
- やめる日は決めない。その日の場面に合わせてSPFとPAを下げる
- 箱に書いてあるのは、これからつくられるぶんを防ぐところまで。すでに出ているシミには向かない
- 屋内はSPF20〜30・PA++、外を歩く日はSPF30〜50・PA+++、海はSPF50・PA++++
- 顔は1回に指先ふたつぶん、重ねるのは2〜3時間おき
- 塗り忘れやすいのは、目のまわり・耳・首の後ろ・唇の4か所
- ヒリつくなら、箱に「ノンケミカル」と書いてある散乱剤へ
選び方は日焼け・UV対策のページに、すでに出ているシミの話はシミ・そばかすのページにまとめました。
今日は、朝に塗っている1本の箱を見て、SPFとPAが明日の予定に合っているかを確かめてみてください。
この記事で挙げたものを、もう一度並べます。
商品は楽天で探して、★4.3以上のものを、レビューの多い順に並べています。 ★の数も価格も、売り切れかどうかも日ごとに書き替わります。押した先の商品ページで、いまの表示を確かめてください。
この話に出てきた化粧品を、まとめて見る
- 日焼け・UV対策に使うもの、選び方
読み終わると、SPFとPAが防ぐ相手の違いが分かり、場面ごとに要る数字と、1回に塗る量が決まります。 - シミ・そばかすに使うもの、選び方
読み終わると、いま顔にあるシミが「つくられる量」と「出ていく量」のどちらの問題かが分かります。そのうえで、防ぐための美容液を買うか、皮膚科で相談するかを決められます。
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