ふるさと納税を、はじめて調べる方へ
ふるさと納税は、住んでいる市区町村とは別の市や町にお金を送る仕組みです。送ったお金のうち2,000円を超えた分は、翌年に納める住民税と所得税から差し引かれる決まりです。そのお礼として届く品を、返礼品と呼びます。
ただし、送れる額には上限がある点に気をつけてください。自己負担が2,000円で収まる上限を限度額といい、年収が高いほど大きく、扶養する家族が多いほど小さくなります。楽天ふるさと納税やさとふるといった申し込みサイトに計算ページがあるので、自分の目安を先に出しておいてください。
返礼品の値打ちは、地方自治の制度を所管する総務省の基準で、寄付額の3割までと決まっています。3万円を送った場合、届く品はおよそ9,000円ぶんです。
8月にふるさと納税の返礼品ページを見ると、「いくら」がすでにずらりと並んでいます。秋に頼むつもりでいると、8月に頼んでいいのか分からなくなります。
8月に並んでいるいくらをそのまま注文すると、届いた箱の製造日が前の年の10月になっていることがあります。秋の海鮮は秋に頼めばいい。そう考える人も多いはずです。ところが、いくらが作られるのは1年のうち9月と10月の2か月だけです。
8月に並んでいるいくらは、前の年の秋に作られたものです。冷凍で保存されているので味は落ちていませんが、その年に作られたものにつく「新物」の表示はありません。
この記事では、秋の海鮮を選ぶときに外しやすい点を、時期・種類・量の順に見ていきます。
この記事はこんな方に向けて書いています
- 秋の海鮮をふるさと納税で頼みたい
- いくらの「新物」「先行予約」の意味が分からない
- 以前、届いた量と冷凍庫の空きが合わなかった
1つめは時期。いくらが作られるのは2か月だけ
いくらは、鮭のお腹から取り出した卵を醤油などに漬けたものです。そのため、卵を持った鮭が獲れる時期にしか作れません。
秋に北海道の川へ戻ってくる鮭を「秋鮭」と呼びます。秋鮭が獲れるのは9月と10月です。北海道の漁業協同組合連合会も、この2か月を旬としています。「ぎょれん」と呼ばれるこの連合会は、漁師がつくる漁業協同組合がさらに集まった組織です。ぎょれんは水揚げの取りまとめや出荷を受け持つので、いつ何がどれだけ獲れるかを実際の数字で把握しています。いくらを漬ける工場の製造も、例年10月で終わります。
夏に獲れる鮭からは、いくらを作れません。
夏に揚がる鮭は「時鮭(ときしらず)」と呼ばれ、まだ産卵する年齢になっていません。卵が育っていないので、粒が小さすぎていくらになりません。夏には、いくらの原料になる卵そのものが無いことになります。
そのため、8月に売られているいくらは、前の年の秋に作って冷凍しておいたものです。
前の年のものだと、味は落ちていますか
冷凍のままなら、粒の張りも味も大きくは落ちません。ただ「新物」と書けるのはその年に作ったぶんだけなので、表示を見れば見分けられます。
だから、8月に頼むなら「先行予約」を選びます
新物を食べたいなら、8月から9月にかけて先行予約で申し込んでください。
先行予約というのは、まだ作られていないものを先に申し込んでおく受付のことです。いくらなら、9月か10月に作られたぶんが、できあがってから届きます。
先に申し込む理由は、その年に作れるいくらの量が、獲れた鮭の数で頭打ちになるからです。工場をどれだけ動かしても、原料の卵が無ければ量は増やせません。そのため、自治体は受付の上限を決めています。人気の自治体では製造が始まる前に上限に達し、そこで受付を止めます。
11月に探しても、その年のぶんは受付が締め切られています。
同じ「時期」の話でも、ホタテでは事情が逆になります
いくらを作れる時期は、秋の2か月だけです。ホタテにはそうした限りがなく、そのかわり産地によって旬が真逆になります。

ホタテの育て方には、地まきと養殖があります。地まきと呼ばれるのは、海に稚貝をまいて自然に育てる方法です。養殖では、かごに入れたホタテを海に吊るして育てます。ぎょれんによると、地まきのホタテで夏に旬を迎えるのは、オホーツクの5〜7月と宗谷の7〜9月です。
いっぽう、野付・根室・噴火湾のホタテは12月から3月が旬です。
レビューの件数は、旬の目印になりません。ふるさと納税でレビュー件数が特に多いのは、野付湾に面した別海町のように、冬が旬の産地のホタテです。件数が多いから旬だろうと考えると、旬とは逆の時期に頼むことになります。
実際、そうした返礼品の口コミには「夏場に注文することはあまりおすすめしません」という声が並んでいます。楽天のレビューは5点満点で、星の数ごとに絞って読める作りです。この声が出てくるのは、星1つではなく星4つのレビューです。品そのものが悪いと書いた人はほとんどおらず、頼む時期について注意しています。
レビューの件数は、その返礼品が出てから書かれたぶんの合計です。過去に何年ぶん売れたかを表す数字なので、件数を見ても旬かどうかは分かりません。旬は産地と月で確かめてください。
たとえば別海町のホタテ・訳ありは、レビューが3万件を超える定番の返礼品です。ただし、このページは最短当日発送で、届く時期を選べません。旬の時期に届けてほしいなら、申し込みを11月以降にずらすか、配送時期を選べるページを探してください。
発送が集中するのは10月から11月です
秋の海鮮は、申し込みの時期だけでなく、届く時期も同じ月に集まります。
できあがる10月から11月に発送が集中するのは、8月から9月に申し込みが集中するためです。そこへ年末の駆け込みで申し込まれたぶんの発送が重なると、配送が遅れることがあります。
「配送時期を選べます」と書いてあるページなら、この混雑を避けられます。「順次発送」は、できあがった順に送るという意味です。順次発送のページでは、届く日を決められません。
留守にしがちな方は、配送時期を選べるページを選んでください。冷凍便のいくらは、再配達を待つあいだに一度でも溶けると、粒がつぶれて水っぽくなります。
2つめは種類。鮭のいくらと鱒のいくらは別のものです
返礼品のページには「いくら」としか書かれていないことがありますが、いくらには2種類あります。
| 秋鮭のいくら | 鱒(ます)のいくら | |
|---|---|---|
| 卵のもと | 秋に川へ戻る鮭 | 養殖のニジマス |
| 粒の大きさ | 大きめ | やや小さめ |
| 皮の感じ | しっかりして、噛むと弾ける | やわらかい |
| 値段 | 高め | 手が届きやすい |
| 作れる時期 | 9〜10月 | 通年 |
鱒は鮭に近い仲間の魚で、返礼品に使われるのは、いけすで育てたニジマスです。海のいけすで大きく育てたニジマスは、売り場に「トラウトサーモン」の名前で並びます。その卵が鱒のいくらです。
鱒のいくらを通年で作れるのは、いけすで育てているからです。天然の秋鮭は川へ戻る時期にしか卵を持ちませんが、養殖なら産卵の時期をずらした群れを分けて育てられます。
秋鮭と鱒のどちらを選ぶかは、好みで決まります。粒が口の中ではじける感じが好きなら秋鮭、やわらかい粒が好きなら鱒を選んでください。
鮭か鱒かは、商品名か原材料名で見分けます。「鱒卵(ますこ)」は鱒の卵のことで、この語か「トラウト」が書いてあれば鱒のいくらです。「鮭卵」「秋鮭」なら秋鮭のいくらです。何も書いていなければ秋鮭のことが多いものの、原材料名の欄まで見れば確実に分かります。
値段だけ見て選ぶと、違うものが来るんですね
鱒のいくらが安いのは、いけすで育てる鱒なら、何匹をいつ出荷するかを決められるからです。天然の鮭は獲れる数が年によって増えたり減ったりするので、その振れ幅が値段に表れます。
3つめは量。1gあたりに直すと比べられます
いくらの返礼品の量は、200gから1kgあたりまで幅があります。寄付額もまちまちなので、そのままでは比べられません。
そこで、寄付額を1gあたりに直して比べます。
| 例 | 寄付額 | 内容量 | 1gあたり |
|---|---|---|---|
| A | 12,000円 | 200g | 60円 |
| B | 24,000円 | 500g | 48円 |
| C | 28,000円 | 1kg | 28円 |
(2026年8月時点で見かける寄付額の例です。自治体ごとに違います)
まとめて頼むと、1gあたりの寄付額は下がります。ただし、食べきれる量かどうかも考えて決める必要があります。
いくらは、解凍したら2〜3日で食べきるのが目安です。一度溶けたものを冷凍し直すと、粒がつぶれて水っぽくなります。
ごはんにのせて1回に食べる量を30gとすると、1kgは33回ぶんです。2人で1日1回ずつ食べても17日かかるので、2〜3日では食べきれません。
そのため、小分けのパックに分かれているかを確かめてください。200gずつ5パックなら、1回に開けるのは1パックだけで済みます。200gは6〜7回ぶんなので、2人で食べると3日ちょっとかかり、2〜3日の目安ぎりぎりです。100gずつに分かれたものがあれば、そちらを選ぶと確実に食べきれます。
1gあたりの安さが役に立つのは、小分けになっているときだけです
冷凍庫の空きも、量の話です
いくらを取ったあとの秋鮭は、切り身の返礼品になります。切り身も9月から10月に作られ、届くのは10月以降です。
量は寄付1万円あたり1.5kgから2kgほどで、1切れ80gとすると19切れから25切れです。
切り身は冷凍便で、19〜25切れが一度に届きます。寄付額を上げれば量も増え、そのぶん一度に届く箱も大きくなります。冷凍庫を先に空けておかないと入りきらないので、申し込む前に、棚1段ぶんの空きがあるかを見ておいてください。
小分けの真空パックになっている切り身は、冷凍庫の隙間に差し込めるので置きやすくなります。
よくある質問
Q. 「新物」と書いてあれば、その年に作られたものですか?
はい。その年の秋に作られたぶんを指します。ただし8月の時点ではまだ作られていないので、「新物・先行予約」という表示になります。
Q. 冷凍のいくらは、どうやって解凍しますか?
冷蔵庫に移して、半日ほどかけてゆっくり戻すのが基本です。急ぐときも、常温や電子レンジは避けてください。急に温度が上がると、粒の皮が破れます。
Q. 賞味期限はどれくらいですか?
冷凍のままで、作った日から半年から1年ほどのものが多くなっています。前の年の10月に作られた品なら、期限が半年のものは翌年の4月に切れるので、8月の売り場には並びません。8月に並んでいるのは、1年ほどの期限がついた品です。正しい期限は、商品ページの表示で確かめてください。解凍したあとは、2〜3日で食べきってください。
Q. いくらとホタテ、どちらから頼むといいですか?
食べたい時期で決まります。いくらが作られるのは9月から10月なので、届くのは10月以降です。ホタテは産地しだいで、夏が旬のものと冬が旬のものに分かれます。同じ月に両方の旬が重なる組み合わせは少ないので、1件ずつ月をずらして頼めば、冷凍庫も混みません。
Q. 訳あり品は、ふつうの品とどう違いますか?
「訳あり」は、味は同じでも見た目や形に難がある品の売り方です。いくらでは、粒の大きさが不ぞろいなものが中心です。同じ量でも寄付額が1〜2割ほど下がり、1万円の品なら8,000円から9,000円あたりになります。味そのものは同じです。ただし、訳の理由が書いていないページは避けてください。粒の不ぞろいなのか、量が少ないのか、傷があるのかを確かめられないからです。
Q. 8月に「新物」の先行予約が見つからないときは、どうすればいいですか?
いくらの先行予約は、自治体によって受付の開始日がばらばらです。8月に出そろっていないこともあるので、その場合は9月の頭にもう一度見てください。10月に入ると、人気の自治体から順に受付が締め切られていきます。
まとめ
- いくらが作られるのは9月と10月だけ。8月に並ぶのは前の年のぶん
- 新物を食べたいなら、8月から9月の先行予約。11月にはその年のぶんの受付が締め切られている
- ホタテは産地で旬が逆(夏はオホーツク・宗谷、冬は野付・根室・噴火湾)。レビュー件数は過去の売れ方で、旬の目印ではない
- 秋鮭のいくらと鱒のいくらは別もの。原材料名で見分ける
- 量は1gあたりに直して比べる。ただし小分けになっているかを先に確かめる
- 解凍後は2〜3日で食べきる。1kgを一度に解凍すると間に合わない
10月から11月に届くいくらは、先行予約の受付が締め切られる前に押さえておいてください。
この記事で挙げたものを、もう一度並べます。
商品は楽天で探して、★4.3以上のものを、レビューの多い順に並べています。 ★の数も価格も、売り切れかどうかも日ごとに書き替わります。押した先の商品ページで、いまの表示を確かめてください。
この話に出てきた返礼品を、まとめて見る
- ふるさと納税 魚介・海鮮の旬カレンダー
カニもいくらも、食べたい月になってから探すと売り切れていることがあります。申し込みの受付は、食べたい月の数か月前に始まります。申し込みの目安は、ウニが5月ごろ、いくらが8月ごろ、ズワイガニが10月ごろです。
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